契約者貸付けとは?生命保険でお金を借りる方法をわかりやすく解説
更新日:2024/03/18
どうしてもお金を借りなければならなくなった時、契約者貸付けという借入方法があります。
これは生命保険を加入している保険会社からお金を借りられる制度です。
契約者貸付けという言葉を知らない人や、聞いたことはあっても詳しい内容を知らない人も少なくありません。
そこでこの記事では、契約者貸付けの仕組みを解説します。
まずは、契約者貸付けとはどういう制度なのかを見ていきましょう。
契約者貸付けは保険会社からお金を借りられる制度
契約者貸付けとは、解約返戻金がある貯蓄型の保険に加入している人が保険会社からお金を借りられる方法です。
解約返戻金とは、保険を契約途中に解約すると支払われるお金のこと。
ただし、支払った保険料のすべてが返ってくるわけではありません。
解約返戻金がある保険の種類は以下のとおりです。
- 終身保険
- 養老保険
- 学資保険
- 個人年金保険 など
一般的に保険の契約期間が長いほど受けられる解約返戻金の金額が大きいので、急ぎでまとまったお金が必要な時に助かりますね。
解約返戻金の範囲内でお金を借りられるので、契約者貸付けは返戻金を前借りするイメージです。
契約者貸付けの4つのポイント
契約者貸付けには以下4つの特徴があります。
- 保険は解約しなくていい
- 審査なしで利用できる
- 何度でも利用できる
- 利用使途が決まっていない
【1】保険は解約しなくていい
契約者貸付けを利用しても加入している保険を解約する必要はありません。
保険の保障は継続され、配当金がある場合は受け取る権利もありますよ。
※配当金とは、保険会社があげた利益の一部を契約者に還元するお金のこと
ただし、解約返戻金を上回る借り入れをすると、返済するよう書面が届きます。
書面に記載されている返済日に返済できないと、保険が失効するので注意が必要です。
【2】審査なしで利用できる
契約者貸付けは解約返戻金の範囲内で融資がおこなわれるため、保険会社は融資したお金を必ず回収できます。
貸す側の保険会社に貸倒れリスクがないので、審査はせずに本人確認だけで利用できるのです。
同じ理由で保証人も不要ですよ。
【3】何度でも利用できる
保険に加入している間であれば、契約者貸付けを何度でも利用できます。
【4】利用使途が決まっていない
契約者貸付けは利用目的が決まっていないので、融資されたお金を自由に使えます。
住宅ローンやマイカーローンなどの目的別ローンのように、利用使途が制限されていないのです。
契約者貸付けの特徴を見ていると、利用しやすくて良い点ばかりに思えますよね。
しかし、利息については注意したいポイントがあるので、次項で説明します。
契約者貸付けには利息が発生する
契約者貸付けを利用する際、利息が発生します。
利息の目安をつけるため、公式サイトで金利を掲載している保険会社の中から、代表的な3社の金利を表にしました。
ソニー生命 |
|
---|---|
第一生命 | 3.00% |
日本生命 | 3.0%~3.75%(保険契約日により異なる) |
利息は融資期間1年ごとに計算されますが、融資期間が1年未満なら日割りで計算されます。
以下で示すとおり、銀行カードローンや消費者金融を利用するより低金利なのがメリットですね。
三菱UFJ銀行 バンクイック | 金利年1.8%~14.6% |
---|---|
三井住友銀行カードローン | 金利年1.5%~14.5% |
プロミス | 金利年4.5%~17.8% |
アコム | 金利年3.0%~18.0% |
金利は低いが複利なので注意が必要
金融機関でお金を借りるより金利が低いものの、利息の計算方法が複利なので注意が必要です。
複利とは、利息が元金に組み込まれる仕組みのこと。
下記で具体例を紹介します。
1年後の利子は3,000円
利子を返済しなければ、利子3,000円分が元金にプラスされ、翌年は103,000円に3%の利子がついてしまいます。
返済しなければ、元金も利子も増え、返済額もどんどん大きく膨らんでしまうのが複利を採用している契約者貸付けのデメリット。
契約者貸付けの返済は、保険契約が続いている間ならいつ返済してもOKです。
ただし、複利なので返済を後回しにすると、あっという間に返済額が解約返戻金を上回りかねません。
契約者貸付けの特徴と注意点が分かったところで、契約者貸付けの申込方法を次項で紹介します。
契約者貸付けの申込方法
契約者貸付けの申請は契約者本人がおこないます。
申込方法は保険会社によりますが、ATMや電話、インターネットから可能です。
数ある契約方法の中でも、「契約者だけが利用できるマイページにログインする方法で手続きすると簡単に申し込める」とおすすめしている保険会社が多いですよ。
申請時に用意する必要書類は、保険会社に問い合わせて案内を受ける方法が一般的です。
メットライフ生命は公式サイトに以下のとおり必要書類が掲載されていたので、参考にしてください。
- 申込書
- 契約者確認書類(保険証券の原本や運転免許証のコピーなど)
- 印鑑証明書(1度利用額が300万円を超えるときのみ)
契約者貸付けを申し込んだあと、どのくらいでお金が入るのか気になりますよね。
次項で紹介します。
契約者貸付けの着金日は当日~4営業日程度
契約者貸付けの着金日は保険会社によって様々です。
※着金日…お金を受け取るまでの日にち
保険会社4社の着金日を下記で表にまとめてみました。
ただしあくまでも参考なので、確実に着金日を知りたい場合は、加入している保険会社に問い合わせてくださいね。
保険会社 | 着金日 |
---|---|
日本生命 | 平日8時~14時半までの取引:当日中に口座振込 土日祝:翌営業日 |
ソニー生命 | WEB申込の場合:翌日に指定口座へ振込 書面申込の場合:2営業日後に指定口座へ振込 |
メットライフ生命 | WEB申込の場合:最短3営業日後に振込 書面申込の場合:必要書類到着後4営業日程度で振込 |
アクサ生命 | 契約者向けWEBサービスなら最短3営業日に口座振込 |
契約者貸付けの申込方法や着金日は分かったものの、具体的にいくらまで借りられるのか知りたいですよね。
次項では利用限度額について説明します。
契約者貸付けの利用限度額は問い合わせが必要
契約者貸付けの利用限度額は、残念ながら本人が保険会社に問い合わせないと分かりません。
契約者だけが利用できるマイページやATM、電話などで確認できます。
詳しくはコールセンターへ問い合わせてみてください。
ただ、1日に引き出せる限度額が分かっている保険会社があるので、念のため紹介しておきます。
保険会社 | 1日あたりの引出限度額 |
---|---|
第一生命 | ATMの引出限度額:100万円 |
日本生命 | WEBもしくはアプリ利用:20万円 20万円以上引き出したい場合は書類手続き |
次は、契約者貸付けの返済方法を紹介します。
契約者貸付けの返済方法
契約者貸付けの返済方法を手段や返済日に項目を分けてお伝えします。
返済手段
保険会社により、電話やATM、保険ショップ、ゆうちょ銀行、パソコン、スマホなど返済手段は様々です。
他にも、積立配当金がある場合はそれを返済に充てられることがあります。
返済日
多くの保険会社が「保険契約の間ならいつ返済してもよい」としています。
ただし、死亡保険金や満期保険金もしくは、病気やケガで保険金が出るタイミングに返済が間に合っていないと、保険額から融資額が相殺される場合があるのです。
いざという時の保障時に、受け取れる保険額が減るのは困りますので、できるだけ早く返済したいですね。
毎月の返済額
毎月の最低返済額に決まりがない保険会社もあれば、一部返済の場合に最低返済額が決まっている保険会社もあります。
参考までに下記の表をご覧ください。
ソニー生命 | 3,000円以上 |
---|---|
メットライフ生命 | 3,000円以上 |
オリックス生命 | 5,000円以上 |
アクサ生命 | 1万円以上で千円単位 |
返済は一部返済だけでなく、全額返済も可能です。
全額返済を利用する場合、事前にコールセンターもしくは窓口に連絡すれば返済額を知らせてくれますよ。
最後に、契約者貸付けを利用している時に保険会社から郵送物があるかどうかお伝えします。
契約者貸付けに関する通知物はある
Yahoo!知恵袋をチェックすると、「契約者貸付けを利用している時に郵送物が届くのか?」という質問が多かったのでお答えします。
答えは「はい」です。
どんな通知物があるのか紹介しますね。
- 書面申込をする際の必要書類
- 貸付金の入金続きの完了通知
- 利息を元金に組み込む際に通知
- 貸付額が解約返戻金を上回ったときに返済の案内
- 返済した時に内容と残高を通知
希望があれば郵送ではなく、メール通知に変更できる保険会社もあります。
保険会社からの郵送に不都合がある人は、一度保険会社に確認してみてください。
まとめ
契約者貸付けは、加入している保険を解約せず、保障も継続するので、安心感のある借入方法です。
ただし、キチンと返済しなければ、病気やケガでお金が必要になった時や子供が大きくなった時の保障が少なくなってしまう可能性があります。
今の生活を守ることと将来を守ることのバランスを考えて利用してくださいね。