カードローンを使わずに解約する場合の適切な処理

更新日:2024/03/12

カードローン_解約住宅ローンやクレジットカードなどの審査を受けるとき、なるべく他に金融機関からの借金がないほうが、審査を有利にすすめられます。

そのため、現在お使いでないカードローンなどの契約は、新たにローンなどの審査を受ける前に、不要なキャッシングを解約したほうがいい、というのはよく聞く話です。

しかし一方で、「一度カードローンを解約してしまうと同じカードローンでは二度と借り入れができない」とか、「カードローンを解約しても信用情報にはすぐには反映されない」などとも言われています。

これでは、カードローンを解約したほうがいいのか、完済後は解約せずに放置していたほうが良いのかわかりません。

不要なカードローンはどう処理すればよいのでしょうか?

この記事の執筆
2級FP技能士 田中 宏一郎 氏
アトムくん編集長_田中
2級FP技能士。これまでに5社の消費者金融カードローン(アコム・プロミス・アイフル・SMBCモビット・LINEポケットマネー)、3社の銀行カードローン(楽天銀行スーパーローン・三井住友銀行カードローン・みんなの銀行ローン)と契約。過去には父の借金で一家離散を経験するも、奨学金のおかげで大学進学。奨学金の完済と同時に住宅ローンの返済がスタート!借金の酸いも甘いも知るアトムくんの編集長。

不要なカードローンは解約したほうが良いと言われる理由

以前、お金が必要だったから作ったカードローン。

もう完済してしまって用済み、というとき、そのまま放置しておいて良いのか、解約してしまったほうが良いのか、どうすればよいのでしょう。

「使わないカードローンは信用情報のためにも解約したほうがいいよ」なんていうことはよく聞く話ですね。

しかし、不要なカードローンを持っておくことは何も悪いことというわけではありません。

完済済みのカードローンを放置しておくと信用情報に傷が付く、などという噂もあるようですがそれは嘘。

カードローンによって信用情報に傷が付くのは、延滞や基本情報を詐称したときなど違反行為を犯したときのみです。

では、なぜ不要なカードローンは解約したほうが良いと言われるのでしょうか?

それは新しくクレジットカードを作ったり住宅ローンなど申し込んだりするとき、すでに他の商品から融資を受けられる状態にあると審査に不利になるからです。

金融機関がクレジットカードや住宅ローンなどの審査をするとき、主に判断材料になるのは申込者に返済能力があるかどうかです。

たとえ完済済みであってもカードローンを解約していなければ、クレジットカードや住宅ローンの契約後にカードローンでキャッシングすることが可能です。

あなたが他人にお金を貸すとして、他に借金のある人と、他に借金の予定がない人だったら、当然借金の予定がない人への貸金のほうが安心ですよね。

クレジットカードや住宅ローンの審査もそれと同じで、金融機関はリスクをおさえるべく、今後借金の予定がない人への融資に積極的になります。

「不要なカードローンは解約したほうがいい」というのは、今後のクレカやローンの審査の有利に進めるためのアドバイスというわけです。

カードローンを解約しても利用履歴は5年間消えない

クレカや住宅ローンなどの審査通過率を上げるためには、不要なカードローンは解約することが大切です。

「じゃあ、直近クレカや住宅ローンを使う予定がない私は、カードローンを解約せず放置していてもいいのね」、こう思われる方もいらっしゃるでしょう。

ここで注意していただきたいのは、カードローンの利用履歴がカードローンの解約後5年間は信用情報に保管されるということです。

借金やクレカなどの利用情報は、

信用情報機関
  • 全銀協(全国銀行個人信用情報センター)
  • JICC(日本信用情報機構)
  • CIC(シー・アイ・シー)

といった個人信用情報機関に保管されます。

金融機関はクレカやローンなどの審査のとき、このような信用情報機関に登録されている情報をもとに、申込者を評価します。

カードローンを解約すると、解約した時点でこの信用情報機関にその旨が登録されます。

しかし、今後の審査材料として使えるように、カードローンの利用履歴は5年間保管されるのです。

たとえカードローンを解約しても、利用中に信用情報に傷が付くような行為をした場合、しばらくの間はその事実が周囲にバレバレ。

カードローンの利用実績が悪く、新たな審査のために証拠隠滅したいという人は、解約後5年間は利用をしない必要があるわけです。

直近クレカや住宅ローンなどに申し込む予定がない人でも、不要なカードローンを放置するくらいなら解約してしまったほうが良いといわれるのはこのためです。

解約したカードローンは二度と再契約できない?

一度とあるカードローンを解約すると、新たに同じカードローンの審査を受けたとき審査に通りづらくなると言われています。

結論からいうと、多くのケースでこれは誤りです。

シンプルに考えて、以前解約した元利用者が新たにカードローンの契約をしてくれることで、金融機関にデメリットがあるでしょうか。

利用する側としては、再契約することで新たに融資が受けられますし、金融機関としては利用者が増えるのでウィンウィンなはずです。

実際、大手銀行の三井住友銀行などは、一度解約された方のためにカードローン再申し込み用の専用ダイヤルを用意するほど再契約に前向きです。

一方で、一度解約することが再契約に不利となるケースもあります。

それは、たびたび返済を滞納していたり、引越しや転職の旨をカードローン会社に申告し忘れたりして注意を受けたことがある人などが解約するケースです。

カードローンの利用履歴が保管されているのは信用情報機関だけではなく、各カードローン会社にも個別に保管されています。

前回のカードローン利用時に少しでも事故情報を残してしまった人は、そのときの成績の悪さを理由に再契約を断られる危険性があるんですね。

ましてや、過去に返済する手立てがなくなって、自己破産・民事再生・任意整理などの個人再生(債務整理)によってカードローンを解約した人は、同じカードローン会社では再契約できない可能性が非常に高いです。

カードローン返済をきちんと行い、転職や引越しの際には自主的に届け出ていた人は、カードローンを解約したからといって再審査時に不利になることはありませんので安心してください。

解約すべきはどんな人?カードローン解約のメリット・デメリットまとめ

ここまでは、カードローンの解約にまつわる噂について検証してきました。

ここで、カードローン解約のメリット・デメリットについてまとめてみましょう。

カードローン解約のメリット
  • 新たなローンを組むときに、他にローン契約がないほうが審査に有利になる
  • 解約から5年経過すれば、カードローン利用履歴も信用情報から抹消される
  • ローンカードを使用不可にすることで、不必要に借金する危険性をなくせる

カードローン解約のメリットとしては、やはり信用情報をクリアにできるという点が挙げられます。

信用情報に汚点がなければ、新たにローンなどの審査を受けるときの障害が減るので、審査通過率を上げることができますね。

一方で、カードローン解約のデメリットは主に下記の2つにまとめられます。

カードローン解約のデメリット
  • 利用履歴に汚点がある場合、一度解約すると再契約がむずかしくなる危険性がある
  • 急にお金が必要になったときに、また一から審査を受けなければならない

先述のとおり、返済滞納などの事故情報がある方が一度カードローンを解約してしまうと、数年後同じカードローンに再申し込みしたとき、過去の汚点が要因となって契約を断られる可能性があります。

「しばらく使う予定はないけど、この会社のカードローンは使いやすくて気に入った」などという場合には、利用予定がないからといって無理して解約する必要はないでしょう。

カードローンを解約すべき人の2つの特徴

これらの事実を踏まえて、私が思うカードローンを解約したほうが良い人とカードローンを持ち続けたほうが良い人は、ズバリ以下の通りです。

カードローンを解約したほうが良い人
  • 若い方で、今後他のローンを使う可能性のある方
  • 借金が癖になっている方

20代や30代といった若い方には、これから結婚や子育てされる方も多いでしょう。

家族を支えるとなればなにかとお金が要りますし、一戸建てや分譲マンション、マイカーといった高額商品の購入においては、住宅ローンやマイカーローンあるいはクレジットカードのように、カードローン以外の金融商品を使う機会も多くなります。

新たな審査を通りやすくするためにも、若年層の方は不要なカードローンは解約されることをおすすめします。

また、カードローンを使うことに慣れて、借金が当たり前の生活サイクルになっている方も要注意です。

カードローンは便利で安全な商品ですが、ご自分あるいは配偶者の収入の範囲で生活していけることが一番大切ですので、使わないに越したことはないでしょう。

「本当は3月の光熱費を払うために一時的に使うはずだったのに、なんだかんだ毎月頼っちゃってるなぁ」
「カードローンを使って買い物するのが楽しくて、よく考えれば大して欲しいものでもないのに買い物しちゃう」

このように、借り入れが癖になっている人は、取り返しのつかなくなる前に思い切ってカードローンを解約されることをおすすめします。

カードローンを持ち続けたほうが良い人
  • 再審査でもう一度在籍確認を受けたくない方
  • 新しくカードローンの審査を受けたとき、通過できるか自信のない方
  • 増額審査によって適用金利を下げたい方

カードローンを解約するデメリットとしては、再度必要になったときに再審査を受けなければならない点が面倒です。
条件によっては収入証明書を用意しなければなりませんし、忌まわしい在籍確認(職場への電話連絡)も再度受けなくてはなりません。

また、先述のとおりカードローンの利用実績が悪かった方、あるいは年収などの関係で今後新しく受けるカードローン審査に通過する自信のない方などは、無理に今のカードローンを解約する必要はありません。

また、カードローンを正しく使い続けていれば、増額審査によって利用可能枠を引き上げてもらうことで適用金利を引き下げることが可能です。
増額審査に通過すれば、カードローンの新規申し込みをして高金利でお金を借りるよりもお得にキャッシングできる可能性もあります。

このように、カードローンには解約しないメリットもあります。
契約期間の満期になると自動更新で契約延長してくれる便利なカードローンは、年会費も不要。
そのため「今後もなにかしら必要になるかも?」と思われる方は、カードローンを解約せずに上手く利用されるのも1つの手です。

まとめ

不要なカードローンの適切な処理について、おわかりいただけたでしょうか?

この他にも、中小のカードローンの一部では「解約後○年は再契約ができません」といった決まりのあるカードローンもあるようです。
中小のカードローンを利用されていて、再契約不可の期間が気になるという方申込は、解約前に一度コールセンターに問い合わせてみましょう。

一方で、大手消費者金融やメガバンクといった大手カードローンでは、再申込期間の制約はないので安心してくださいね。

カードローンを解約したほうが良いと判断されたら、次に気になるのは「解約ってどうやるの?」ということです。
カードローンの解約方法としては、まず初めに借入残高を利息分もふくめて全額返済してしまいます。

そして、完済後にあらためて解約手続きを踏むことで、初めてカードローンの契約終了となりますが、この手続きは金融機関により微妙に異なります。
例えば、注意したいのは下記の項目。

解約時に注意したい項目
  • 解約手続きの手段はなにか(窓口や電話など)
  • 解約手続きの必要書類はどれか(銀行印や本人確認書類の有無)
  • 残高証明書の発行には何日かかるか
  • 残高証明書の発行には手数料がいくら必要なのか

カードローン解約のあと、5年以内に別の金融商品に申し込むときには、残高証明書(または完済証明書、解約証明書ともいいます)が必要なケースもあり、その入手方法は金融機関によりさまざまです。

こちらのページではそういった細かな情報を各金融機関に直接リサーチしてまとめているので、ぜひチェックしてみてくださいね。

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