パチンカスの父親が作った借金のせいで家庭が崩壊した話
更新日:2024/03/11
日本のパチンコ・スロットの市場規模は約14.6兆円。
多くの方が、”娯楽”としてパチンコやスロットを楽しまれているのは間違いありません。
その一方で、財務局や地方自治体に寄せられた「ギャンブルがきっかけで借金をしてしまった」という相談は、年々増加傾向にあります。
はじめまして。アトムくん編集長の田中コウイチロウです。
突然ですが、はっきりと断言させてください。パチンコにのめりこみ、借金をするのは、とても危険な行為です。
そのことが原因で、自分だけでなく、家族や知人、友人にも迷惑をかけてしまうかも知れません。
この記事では、パチンコで借金を作った父親のせいで家庭崩壊を経験した私が、パチンコをきっかけに借金をしてしまう危険性をお伝えします。
パチンコ依存症から立ち直るための支援をおこなっている団体を紹介するので、じっくりと最後まで読んでください。
パチンコで借金をしてしまった方、またパチンコ依存が疑われる家族と生活している方にこの記事が届けば嬉しいです。
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2級FP技能士 田中 宏一郎 氏 - 2級FP技能士。これまでに5社の消費者金融カードローン(アコム・プロミス・アイフル・SMBCモビット・LINEポケットマネー)、3社の銀行カードローン(楽天銀行スーパーローン・三井住友銀行カードローン・みんなの銀行ローン)と契約。過去には父の借金で一家離散を経験するも、奨学金のおかげで大学進学。奨学金の完済と同時に住宅ローンの返済がスタート!借金の酸いも甘いも知るアトムくんの編集長。
パチンコで作った借金をパチンコで返済するのは絶対ダメ
パチンコをするために借金をしてしまう人は、ほとんどの場合、以下のような考えを持っています。
「借金をしたとしても、“あの時”みたいに大勝ちすればすぐに返せる」
パチンコで作った借金を、働いて稼いだお金で返済するのではなく、パチンコで勝ったお金で返済しようとするんです。
これは、パチンコ依存症(ギャンブル依存症)の症状。
このままだと、雪だるま式に借金が増えてしまう可能性が高く、根本的な解決のためには、パチンコ依存症を治療する必要があります。
パチンコ依存症の原因とは
日本医療研究開発機構の発表によれば、国内のギャンブル依存症が疑われる人の割合は0.8%とのこと。
約100万人の方が、パチンコ依存症を含めたギャンブル依存症で苦しんでいらっしゃいます。
特に若い男性やストレス対処がうまくない人ほど依存症リスクが高く、ギャンブルが身近にあるなどの環境要因もその原因のようです。
ただ、パチンコ依存症(ギャンブル依存症)になってしまう原因は、これだけにとどまりません。
パチンコで依存症になる原因は機械にもある
ギャンブル障害を専門とする松下幸生先生によれば、パチンコやスロットの機械そのものにパチンコ依存症の原因があるようです。
人の脳には、高揚感を感じさせる報酬系という部位があり、パチンコやスロットをしていて“あと一歩で当たる場面”を見ると、ドーパミンが分泌し報酬系の働きを活発化させます。
その結果、パチンコ・スロットを続けたいと思ってしまうんです。
また、パチンコやスロットで流れる映像・画像・音響は、負けているのに勝っているような錯覚を起こさせて、これも脳の報酬系の働きを活発化させます。
脳に障害がある可能性
パチンコ依存症を含めたギャンブル依存症は、本人の性格によって引き起こされると思われがちですが、最近の研究によって、ギャンブル依存症の方は、前頭葉と呼ばれる脳の一部の機能が弱っていることも明らかになっているんです。
前頭葉には、“目標を達成するための、状況の判断、計画性・遂行・問題解決・行動の制御などにかかわる背外側前頭前野”と“相手の気持ちを推し量ったり、未来のことや現実とは異なる事象を想像したりすることにかかわる内側前頭前野”があります。
ギャンブル依存症の方は、背外側前頭前野と内側前頭前野の結合が弱いという研究結果を、京都大学大学院医学研究科の高橋英彦教授ら研究グループが発表しました。
上記の研究結果によれば、ギャンブル依存症の方は、目標達成のためにリスクをとる必要がない場面でも、あえてリスクを取ってしまう傾向がみられるようです。
ギャンブル依存症になる可能性は誰にでもある
上記のような考え方は、実際にギャンブルをしていない人にも当てはまるケースがありますよね。
つまり、パチンコ依存症になる可能性は誰にでもあるんです。
リスクを理解してパチンコ依存症から脱することが必須
パチンコ依存症の原因を見ていただいたなら、パチンコ依存症の方が、パチンコで作った借金をパチンコで返済しようとするメカニズムが理解できたのではないでしょうか。
パチンコ依存症の方は、パチンコで作った借金がどんどん膨らんでいったとしても、そのリスクを正しく理解することが困難になっているんです。
パチンコで作った借金を返済するためにも、パチンコ依存症のリスクを正しく理解して、パチンコ依存症から脱する必要があります。
では次に、パチンコ依存症で借金を抱えてしまった人がどうなってしまうのかを、私の経験談からお伝えします。
パチンコ依存症で借金を抱えた人の末路
私の父はパチンコ依存症でした。
父はときどき家に帰ってくるのが遅かったので、子供ながらに「仕事が大変なんだろうな」と思っていたことを覚えています。
でも本当は、仕事をしていたのではなく、パチンコ店に通っていたんです。
そして悲劇は突然訪れます。
父の土下座と突然の一家離散
私が13歳の秋、母方の祖父母が家にやってきて、父と母と4人でなにやら大人の話し合いをしていました。
すると自室にいた私を祖母が呼びにやってきます。
2階にある自室から出て、1階のリビングの扉を開けると、祖父に土下座をして泣きながら謝っている父の姿が目に飛び込んできました。
そのときの光景は、15年以上たった今でも忘れません。
どうやら父は、パチンコにのめりこんでしまったことが原因で多額の借金を作っており、どうしても首が回らなくなったようです。
しかも父は、仕事中にもパチンコに通い、会社を解雇されていました(父の借金がわかったのは、母が父の勤務先に電話をしたのがきっかけです)。
学資保険などは解約されており、住んでいる家が競売にかけられることも明らかになります。
そして私と母は、話し合いのあった翌日から祖父母の家で暮らすことに。
今思い返しても、あまりの急展開に驚きを隠せません。
事実は小説よりも奇なりとはよく言ったものです。
なぜこのような状況になるまで、父は借金のことを隠していたのでしょうか。
借金を誰にも言えなかった父
私が覚えている限り、父は本当にまじめで優しい人でした。
田舎の小さな会社ではありますが、部長職を任されていました。
小学校のころ、父親授業という特別授業があり、教団に立つ父の姿は本当に自慢でした。
もしかすると父は、私たちが作り上げた父の姿と、パチンコに通って借金を作っているという姿のギャップに苦しんでいたのかも知れません。
たしかに父は、その優しさゆえに、小心者な一面もあったように感じます。
とはいえ、最悪の結果になる前に相談してくれていれば、未来は確実に変わっていたはずです。
最悪の結果を想像する力を取り戻す必要がある
父がパチンコで作った借金が原因で私たち家族はバラバラになりました。
田舎町だったので、ウワサはすぐに広まります。母はどれだけ苦しかったでしょう。想像するだけで胸が痛みます。
私は祖父母の家から車で30分以上かけて、中学校に通うように。
多感な時期の少年たちは、当然すぐその“異変”に気付きます。いじめっ子たちの格好の餌食が出来上がりました。
なぜ父は、こんな未来がやってくるリスクを想像できなかったのでしょうか。
それは先にも紹介したとおり、パチンコ依存症の方は、状況の判断と未来を想像する前頭葉の働きが弱くなっているからです。
パチンコで作った借金を返済したいなら、まずはパチンコ依存症から脱して、パチンコで借金を作ってしまったときの最悪の結末を想像する力を取り戻さなければなりません。
つづいては、パチンコ依存症から脱するための方法を紹介します。
パチンコ依存症から脱するための方法
パチンコ依存症から脱するための方法は次の3つです。
それぞれ詳しく紹介します。
依存症の自助団体に相談する
パチンコ依存症は、その事実を隠してしまうと、よけいに解決が困難になってしまいます。
WHOは1970年代後半、ギャンブル依存症を病的賭博という名称で正式に病気であると認めました。
つまりパチンコ依存症れっきとした病気であり、恥ずかしいことではないんです。
パチンコ依存症について相談できる自助団体を掲載しますので、まずは誰かに相談することから、依存症を脱していきましょう。
また、家族の方向けの団体も掲載しておきますので、家族の方もひとりで悩まず相談してみてくださいね。
精神保健福祉センター | 各都道府県や政令都市に相談窓口があります 全国の精神保健福祉センター一覧を見る |
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ギャンブル依存症問題を考える会 | TEL:03-3555-1725 |
GA(ギャンブラーズ・アノニマス) | TEL:046-240-7279 |
全国ギャンブル依存症家族の会 | TEL:090-1404-3327 |
ギャマノン | TEL:03-6659-4879 |
家族に相談する
知らない人に相談するのは気が引けるという場合は、家族に相談してください。
大人になった今、「もし父がパチンコで作った借金のことを家族に打ち明けてくれていればどうなっていたのかな・・・」と思うことがあります。
あなたが家族を大切に思ってパチンコで作った借金を隠しているのと同じように、家族もあなたのことを大切に思っています。
私のような最悪の結末を迎えないためにも、家族に相談してみてください。
また家族の方は、パチンコ依存症が病気であることを理解したうえで、みなさんから本人に話しかけてあげてください。
専門の機関の相談窓口に連絡して治療を受けよう
パチンコ依存症の治療には、認知行動療法が有効とされています。
認知行動療法の有効性について詳しく知りたい方は、依存症対策全国センターのコチラのページ【依存症のための心理療法】をご覧ください。
また、依存症対策全国センターでは、全国の相談窓口・医療機関を検索できます。
以下のページから付近の医療機関を検索し、パチンコ依存症を克服するための治療をスタートさせましょう。
パチンコで作った借金を返済するためには、まずはパチンコ依存症から脱する必要があります。
ひとりで悩まずに、自助団体や支援グループ、もしくは家族に相談してみてください。
心についた重りがひとつ外れるはずです。
では最後に、パチンコで作った借金を返済する方法を紹介していきます。
パチンコで作った借金を返済する方法
パチンコで作った借金を返済する方法を紹介する方法を紹介す前に、大前提として、パチンコで作った借金をパチンコで返済するという考えを捨てましょう。
つまり、パチンコを断つんです。
パチンコをしないことを前提として、賢く返済する方法を4つ紹介します。
上記の方法をすべて実行すれば、着実に借金を減らせるはずですよ。
順番に解説していきます。
借入先をひとつにまとめて管理しやすくしよう
複数の金融機関から借入している場合は、借金をまとめて返済の管理をしやすくしましょう。
複数の返済日があったり、返済額がそれぞればらばらだったりすると、返済が遅れたり、返済額が足りなかったりするリスクが高くなります。
リスク回避のためにも、借入先をひとつにまとめたほうがいいですよ。
借入先をまとめるもうひとつのメリット
借入先をまとめるのには、金利を下げるというもうひとつのメリットがあります。
貸金業者から借りたお金の金利は、利息制限法という法律によって、借入額限度額ごとに上限が決められているんです。
借入額 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 年利20.0% |
10万円以上100万円未満 | 年利18.0% |
100万円以上 | 年利15.0% |
なので、借入をひとつにまとめると、借入額限度額が増えて金利が下がる可能性もあります。
また、そもそも上限金利が低めに設定されているカードローンに借り換えるのも有効な方法です。
おまとめローンについては、『おまとめローンのデメリットとは?デメリット回避の秘策と一緒に解説』の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
貸付自粛制度を利用しよう
日本貸金業協会に、「これ以上お金を借りると、自分や家族の生活に支障が生じる可能性があること」を伝えると、貸付自粛制度を利用できます。
貸付自粛制度を利用することで、一定の期間は借入ができなくなるため、借金がこれ以上増える心配はなくなるんです。
貸付自粛の申告はWEBや郵送、日本貸金業協会の支部に来協して行います。
本人確認書類2点があれば申し込めるので、これ以上の借金を断つために申込んでみてはいかがでしょうか。
不要なモノはとにかく売ってしまおう
借金を早めに返済するためにも、おうちにある不要なものはとにかく売って現金化してください。
実は高値が付くものが自宅に眠っているかもしれません。
『【金欠を救う?】自宅に眠る意外と高値で売れるものとは』の記事を読んでいただけると、自宅の不用品を売るコツをマスターできますよ。
パチンコに行っていた時間で簡単な副業をはじめよう
パチンコに行かなくなったあなたには、時間的な余裕が生まれているはずです。
その時間で、簡単に始められる副業をしてみてはどうでしょうか。
たとえばランサーズやクラウドワークスなどの、クラウドソーシングサービスに登録して、カンタンなアンケートに答えたり、ライターをしてみたりするのはどうでしょう。
自宅で作業できるため、移動の必要がないのもメリットです。
債務整理も検討してください
ここまでに紹介した4つの方法を実行しても、借金を減らすことが難しそうなら、債務整理を検討してください。
債務整理とか自己破産と聞くと、とても大ごとのように感じるかもしれませんが、債務整理をしたからといって人生が終わるわけではありません。
信用情報に債務整理した情報が記録されるため、5年~10年は新たな借入ができなくなるものの、むしろパチンコの資金源を断てるので好都合です。
官報という国の発行物に名前が記載されることになっても、官報を見ている一般の人はほとんどいないので、債務整理が誰かにバレることもないでしょう。
まとめ
借金を作ってまでパチンコをしてしまう人は、パチンコ依存症になっている可能性が濃厚です。
パチンコ依存症を抱えたまま借金返済しようと思っても、結果的にまたパチンコを繰り返して、借金が減ることはないでしょう。
私が経験したような最悪の結末を迎える前に、まずはパチンコ依存症の治療を行い、根本的な解決をめざしてください。
そうすれば、パチンコで借金を抱える未来よりも、パチンコ依存症を克服して借金のない未来の方が素晴らしいことに気付けるはずです。
あとは借入先をひとつにまとめて完済を目指しましょう。
完済が困難なときは、早めに債務整理を検討してください。
この記事が、パチンコで作った借金に悩む人やその家族にとって、解決の糸口になることを切に願っています。
田中 宏一郎
この記事を書きながら、パチンコ依存症になる脳のメカニズムを知り、複雑な気持ちになりました。
もしタイムマシンがあったしたら、パチンコ依存症で人知れず苦しんでいた父に、このことを教えてあげたいです。
しかし、当たり前ですがそんなことはできません。
なのでこの記事は、私と同じような思いをする人がいなくなるようにと願いを込めて執筆しました。
もし、パチンコで作った借金に悩んでいるなら、まずは誰かに(なんならアトムくん編集部に!)相談してください。
ひとりで抱え込むことが最も解決を遠ざけますからね。