【体験談】パチンコで作った借金を債務整理(個人再生・任意整理)した流れを紹介
更新日:2024/03/06
世の中には借金が膨れ上がり、返済が困難になっている人がたくさんいます。
そういう人を多重債務に陥っていると言い、実は筆者もその多重債務者の一人でした。
そして、借金返済が困難になり、任意整理を行いました。
この記事は、これから債務整理をお考えの皆さんに、筆者が借金生活から任意整理に至った理由、そして、その流れや費用についての体験談をお伝えする事で、少しでも借金返済に苦しんでいる人のお役に立てればと思います。
年齢 | 配偶者 | 子供 |
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30代後半 | あり | 2人 |
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アトムくん編集部 氏 - 債務整理を経験したライターや、元クレジットカードの審査担当者、銀行の審査担当など、ローンの悩みに精通したアトムくん編集部です。
借金生活の理由はギャンブル
筆者の借金理由は、ギャンブルによるものでした。主にパチンコです。
24歳の頃に初めてパチンコをしたのがきっかけでした。
それまではギャンブルというものはほとんどしたことがなかったのですが、当時付き合いをしていた彼女から誘われて、はじめてパチンコをしてみました。
最初はパチンコなんて絶対勝てないし、1回に使うお金も数万円になる可能性も十分にある遊びで、こんなもので遊ぶなんていうのは考えられないものでした。
しかし、初めてパチンコをした筆者は、5,000円で初めて大当たりを引く事が出来ました。
まさしく、ビギナーズラックと呼ばれるものです。
その時は、勝った金額は10,000円程度と少なかったものの、初めての勝利に嬉しさを噛みしめた事を覚えています。
その後、筆者はもう一度パチンコに行ってみたいと考えました。
そして、今度は彼女とではなく1人でパチンコ屋に入り、そこでは、あろうことか今度は50,000円程度勝利する事が出来ました。
これで筆者は、パチンコが儲かるものだと完全に勘違いしてしまうことになり、今思えば、この時点で大負けをしていれば、パチンコに嵌る事はなかっただろうと思います。
しかし、現実はそう甘くはありません。
筆者はその後10年に渡り、会社帰りにパチンコに寄ったり、休日には丸1日パチンコをする日々を繰り返しました。
当然、勝ちなんて続くものではありません。
いつしか負けが込み始め、100万円程あった貯金もパチンコにつぎ込み、遂には持ち金が底を尽きました。
結果、消費者金融からお金を借り、それをパチンコにつぎ込んで、負けたらまたお金を借りるといった生活に嵌り、気づけば借金の総額(債務額)は300万円にまで膨れ上がってしまいました。
債務整理を決めたキッカケ
筆者は大手消費者金融から融資を受ける事が困難となったため、中小消費者金融、いわゆる街金と呼ばれる消費者金融に融資のお願いに行った時の事でした。
当然、街金でも融資を受ける事は出来ず。融資を断られた筆者は途方に暮れていました。
その時、その街金の担当者から借金問題を解決するには債務整理をしてみてはどうかというアドバイスを受けました。
債務整理自体、どういったものか分からなかった筆者でしたが、これ以上の融資をしてくれるところもなく、これからの借金返済目途も立たなかった筆者は、債務整理をするより他ないと考えました。
でも、債務整理って一体何をするのか?助けて欲しい反面、不安も一杯でした。
そして、筆者は弁護士に相談をしてみる事にしました。
具体的な債務整理の流れ
まず弁護士事務所に電話をしてみました。
そうすると、弁護士は事務所で話を聞きたいという事になり、筆者は弁護士事務所を訪問しました。
筆者は300万円の借金と、それに至った経緯について、すべて弁護士に伝えました。
筆者には妻と2人の子供がいましたが、当然、この借金の事は家族には話していませんでした。
弁護士には、借金総額やそれまでの経緯の他に、借入している金融業者名、各借入金額、それからキャッシングローン用のカードをすべて見せました。
弁護士は、筆者の今の状況を把握した上で、「個人再生という手段を取る事で話しを進めましょう」という事になりました。
筆者はこの手段を取る事を了承しました。
ここで、この個人再生という債務整理の手段について少しお話ししておきます。
個人再生による債務整理で対応
個人再生は、現在ある借金総額を1/5に軽減出来る、あるいは100万円にする事が出来る手段です。
筆者の場合は、家族を持っている事、それから借金総額を大幅に軽減出来る事という理由から、弁護士は個人再生を行う事がよいと判断しました。
この場合、筆者の借金総額が300万円でしたので、個人再生の手続きを取れば、借金総額は100万円に減る事になり、それを3年ですべて返済する事になります。
つまり、3年で100万円、月にしておよそ3万円の返済を行っていく事になるのです。
その間、利息などは発生しません。確定した100万円を分割で支払う事になります。
個人再生の流れ
個人再生は、次の様な流れで進んでいきます。
- 弁護士から受任通知書が債権者でもある貸金業者へ送付される。
(この時点で債権者側からの督促等が止まる) - 個人再生申請における様々な資料関係を揃える。大凡この資料集めで6ヶ月程度かかります。
(資料:源泉徴収書、給料明細、住民票、家計簿、預金通帳、意見供述書など) - 弁護士が裁判所へ個人再生を申し立てる。裁判所で審査され、個人再生が認可されれば、個人再生が始まる。
(審査 ~ 認可まで大凡2ヶ月程度かかります)
個人再生手続きにおける様々な不安要素
まず、個人再生を行う上で、筆者の中で大きな課題となったのが、収支表(家計簿)の提出と高額資産の換価です。
個人再生の場合、裁判所へ個人再生の手続き申請を提出する書類の一つとして、収支表(家計簿)が必要になります。
それは申請する月までの3ヶ月分です。
家計簿をつけると言う事は、家族の協力無しには対応が出来ません。
つまり、家族に個人再生を行う事を内緒には出来ないのです。
筆者はこの債務整理について、妻へ説明し、何とか筆者が立ち直るために協力してくれるという協力体制を得る事が出来ました。
債務整理を行う上では、第一に、この家族への報告が一番苦しい悩みとなるでしょう。
正直なところ、個人再生を内緒にしながら進めていく事はほぼ皆無と思ってもらったほうがよいでしょう。
ご家族をお持ちの方は、誠意を持ってご家族に説明する事が必要になります。
そして、もう一つが高額資産の換価です。
手元に高額な資産は残せないという理由から、筆者は自家用車を売らなければならなくなりました。
高額資産は、20万円以上の価値が付くものが該当します。
これも個人再生を進める上では避けられない条件の一つであり、実際、筆者は自家用車を換価しました。
筆者の場合は住んでいる環境が恵まれているため、自家用車を手放しても大きな影響はありませんが、大きな影響を与えてしまう人もいると思います。
他にも様々な不安要素がありました。それが次の通りです。
- 会社に個人再生をした事がばれないか?
- 保険は解約しなければならないか?
経験した結果から言うと、個人再生をする事が会社にばれる可能性は少ないです。
しかし、住んでいる家が社宅等と言った場合は会社にばれる確率が高くなるかも知れません。
筆者の場合は賃貸マンションに住んでおり、そのマンションは社宅扱いとして会社に負担してもらっていたため、社宅に住んでいるという事を証明する資料を提出する事に手を焼きました。
会社にはばれたくないため、マンションの管理業者に社宅である事の証明を貰えるように交渉しましたが、契約者が会社であり、筆者ではないため、なかなか資料を入手出来ませんでした。
結局、管理事務所から、管理会社と会社が取り交わしている契約書のコピーなどを入手する事が出来たため、何とか資料が手に入りました。
社宅などに住んでいる場合は、その社宅証明を取得するために、もしかしたら会社に資料を要求する必要が出てくるかもしれません。
また、現在入っている生命保険などについては、継続して入っておく事が可能です。
但し、保険内容は少々見直しをする必要が出てくるかもしれませんし、子供の学資積立保険の様なものなどは解約する必要も出てきます。
少しでも無駄な出費を減らし、個人再生をしても生活の基盤は崩れないようにするために、弁護士から指導される可能性があるのです。
個人再生から任意整理へ債務整理手段を変えた理由
筆者が個人再生の手続きを決めてから、7ヶ月程度たった頃の事です。
個人再生の手続きに関する資料もほぼ揃い、個人再生の申請をする最終段階を迎えました。
しかし、ここで1つ新たな問題が発生します。
ボーナスが支給される時期になったという事です。
それがどういった問題になるのか?ボーナスが支給される事により、返済金額の総額が個人再生でも任意整理でも、どちらの手段を取ってもあまり変わらなくなってしまったのです。
通常、個人再生では現在の借金総額が1/5になるか、100万円になるかのどちらかに減額となり、筆者の場合は後者の100万円になる予定でした。
ただ個人再生の場合、総資産額が100万円を超えている場合は、その返済総額は総資産額と同額になってしまうのです。
総資産額とは、以下のことを指します。
- 現在退職した場合に見込まれる退職金
- 保険解約をした場合に見込まれる解約戻り金
- 現在の貯金総額
の合算金額となります。
この金額が100万円を超えていれば、総返済金額は総資産額と同額となってしまいます。
筆者の場合は、これらの総資産金額は合計で250万円程となってしまいました。
一方で、筆者が任意整理した場合は、過払い金が発生していた事も影響し、その総返済金額は250万円程度になると弁護士より聞かされました。
この事により、筆者は任意整理に切り替える事にしました。
個人再生と任意整理では何が変わるか?
個人再生では裁判所を通して、法的に借金低減を行ってもらう事に対して、任意整理では裁判所を介さず、債権者と弁護士で和解交渉をしてもらいます。
その手続きの煩雑さは全く異なり、任意整理では家計簿の提出や高額資産を手放す必要はありません。
また、債務整理を行った事による金融事故扱い期間も、7年(個人再生の場合)から5年(任意整理の場合)に縮小されます。
※信用情報機関のCICでは平成21年4月1日より自己破産の情報保有はなし
返済総額が変わらないのであれば、任意整理を選ぶ方がよいのです。
その様な理由から、筆者は任意整理に切り替えました。
ただ、一つ心残りなのが、自家用車を手放さずに済んだのではないか?という点でした。
結果論とは言え、借金総額を減らす事を目標にしていた債務整理が、結局借金総額は変わらず、自家用車を手放す事になったのは少し納得がいきません。
しかし、経済的には車を維持する費用もそれなりにかかってしまうため、やむを得なかったと考えるようにしています。
個人再生と任意整理の費用
筆者がお世話になった弁護士費用は次の通りでした。
- 個人再生(総額60万円)(最初はこの総額で契約)
- 任意整理(総額45万円)(任意整理に切り替え後の全体総額)
これらの費用は、打合せ等の費用もすべて含みの額でした。
結局、任意整理という形の手段を取ったため、最終的には個人再生から任意整理の切り替わりを含めて、45万円の支払いになりました。
支払い方法は30万円(手続き進行期間に入ったボーナスで支払い)、残りの15万円を任意整理が成立した後のボーナスで支払うという形となりました。
支払い方は、基本的に分割です。どの様に支払うかは弁護士と相談の上、決める事が出来ます。
筆者の場合は結果的に45万円という費用が弁護士費用。借金返済総額として250万円となりました。
ちなみに、これから債務整理や借金相談をしようとお考えの人は、相談先には出来るだけ家の近くで、意思疎通が出来る弁護士を選んで依頼するようにして下さい。
評判がよい弁護士でも、遠い場所の弁護士の場合、交通費が余分にかかります。
無駄な出費を避けるためにも近くで選ぶのが無難です。
県を跨ぐような弁護士を選定すると、弁護士の裁判所に行く費用も負担しなければならなくなります。
まとめ
筆者の場合は、債務整理で借金総額が大きく減った訳ではありませんが、少なくとも借金返済に追われ、借金返済の事ばかりが頭にあった状況から抜け出せたという事は、自分にとって非常によかったと思います。
また、家族には大きな迷惑をかけてしまいましたが、これからそれ以上に恩返しをしなければと思えるようになりました。
アトムくん編集部
債務整理をする事で、後ろ向きだった自分が、前向きに変われる事は間違いありません。
これから債務整理をお考えの人は、色々な局面を迎える事もあると思いますが、自分が前向きになるためにはあなた自身がここで踏ん張るしかないと思います。