警察・交番でお金を借りる方法とは?困ったときは公衆接遇弁償費を利用しよう
更新日:2024/03/06
財布やバッグを紛失もしくは盗難に遭い、外出先から帰れない…。
もし、そんな事態に遭ったら焦りますよね。
キャッシュカードもクレジットカードも電子マネーもなかったらどうしましょう?
そんな時、必要な交通費を交番で借りられるんです。
では、どんな人がどうやって交番でお金を借りられるのでしょうか?
この記事では、交番でお金を借りられる条件や借り方、また、交番でお金を借りる以外にできる対処法を紹介します。
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2級FP技能士 田中 宏一郎 氏 - 2級FP技能士。これまでに5社の消費者金融カードローン(アコム・プロミス・アイフル・SMBCモビット・LINEポケットマネー)、3社の銀行カードローン(楽天銀行スーパーローン・三井住友銀行カードローン・みんなの銀行ローン)と契約。過去には父の借金で一家離散を経験するも、奨学金のおかげで大学進学。奨学金の完済と同時に住宅ローンの返済がスタート!借金の酸いも甘いも知るアトムくんの編集長。
公衆接遇弁償費として警察からお金を借りられる
東京都の警察には、公衆接遇弁償費という制度があります。
これにより、交番でお金を借りられるんです。
では、どんなときに公衆接遇弁償費を利用できるのでしょうか。
東京都以外の地域にも公衆接遇弁償費に似た制度がありますので、以下で確認してください。
急を要する費用に貸してくれる
警察は、「お金貸してくださーい!」と交番に駆け込んできた人みんなにお金を貸してくれるわけではありません。
交番で公衆接遇弁償費としてお金を貸してくれる事案は以下の3つです。
- 財布をなくしたなどによって発生する必要な交通費
- 行方不明者や急病人の保護・交通事故による負傷者の救護などで一時的に必要な経費
- その他公衆接遇のために必要な経費
それぞれ具体的に説明します。
交通費
現金がなくてもキャッシュカードがあればATMでお金をおろせばいいし、クレジットカードがあればタクシーで帰宅することが可能です。
しかし、財布ごとなくした場合、現金と一緒にカード類も紛失していることがほとんどでしょう。
ICカードも所持していなければ電車賃やバス代を補う手段はなくなるため、その費用を貸してもらえます。
保護や救護
道ばたで保護や救護した人に対して、すぐに水分や食べ物を与える必要があったり、ガーゼやタオルが必要だったりする場合の費用を借りられます。
その他
上記3つに該当しないけれども対応すべき事案
「あるはずの現金がない」「現金はないけど誰かのために必要」という事案に公衆接遇弁償費を利用できます。
下記のような事例では公衆接遇弁償費制度を利用できないので注意してください。
- 息子をかたるオレオレ詐欺の被害にあった
- 金銭トラブルに巻き込まれた
- ヤミ金融の取立てにあっている
- カードローンなど貸金業者への返済金を融資してほしい など
お金を借りられる場所は8箇所
公衆接遇弁償費としてお金を借りられる場所は交番だけではありません。
警察庁では公衆接遇弁償費の交付場所を8箇所に割り振っています。
- 警察署
- 企画課(市警察部)
- 運転免許試験場
- 鉄道警察隊
- 交番
- 駐在所
- 地域安全センター
- 警ら用無線自動車
主要駅に駐在している鉄道警察隊、走行中のパトカーや白バイからもお金が借りられるんです。
では、一体いくらくらいお金を貸してくれるのでしょうか。
借りられる金額は約1,000円
公衆接遇弁償費として貸してくれる金額は1人につき1,000円が原則。
公共機関を使って帰るなら1,000円程度で間に合いそうですよね。
必要に応じて1,000円以上借りることも可能ですが、その場合、警察庁が任命している承認者の許可が必要です。
承認できる人は以下のとおり。
- 警察署長
- 企画課長(市警察部)
- 運転免許試験場長
- 鉄道警察隊長
- 地域課長(おもに交番のお巡りさんが所属している課)
- 企画課(市警察部)
お金の借り方&返し方
公衆接遇弁償費として警察にお金を借りて返済するまでの手順を紹介します。
- 例)財布をなくし帰宅できず、交番でお金を借りる 交番で事情を説明
- 公衆接遇弁償費を利用しないといけないと警察官が判断
- 借受願書の記入 ※1
- 借受願書と返済書の交付
- お金を借りて帰宅 ※2
- 返済書とお金をもって交番へ返済 ※3
※それぞれの手順で気をつけてもらいたいポイントがあるので、順に解説します。
※1…借受願書の記入
借受願書とは、借用書のこと。
以下の項目を記入します。
- 日付
- 住所
- 職業
- 電話番号
- 氏名
- 生年月日
- 年齢
- 借受金額
- 借受理由
- 記入
- 押印or指印
※2…お金を借りて帰宅
未成年が公衆接遇弁償費を利用する場合は保護者に連絡が入ります。
これは民法5条により決まっていることなので避けられません。
保護者に連絡して迎えにきてもらえるなら、公衆接遇弁償費は利用できません。
※3…返済書とお金をもって交番へ返済
返済場所は原則、借りた場所。
ただし、借りた場所から遠いところに住んでいるときなどは、住んでいる地域の最寄りの交番等に返済できます。
例)出張先で財布を紛失した など
返済時、金融機関でお金を借りるときのような利息や手数料はかかりません。
希望すれば領収書を発行してくれます。
ここまで東京都の警察にある公衆接遇弁償費制度を紹介しました。
では、他府県の交番ではお金は借りられないのでしょうか?
次項にて、東京都以外の地域にある交番でお金を借りる制度を紹介します。
警察からお金を借りられるのは11の都道府県
東京都以外の道府県には公衆接遇弁償費という制度はありません。
ただし、同じような制度がある道府県があります。
どの地域に公衆接遇弁償費と同じような制度があるのか、全県警ホームページに公開されている警察内通達や訓示を調べました。
すると、以下の11道府県の交番でお金を借りられることが分かりました。
上記以外の地域でも、警察内通達や訓示をHP上に公表していないだけで、公衆接遇弁償費に似たような制度があるかもしれません。
上記以外の地域にお住まいの方も、ここから説明する制度について目を通してみませんか?
いざという時に、同じような制度がないか確認しやすくなると思いますよ。
各道府県の警察から借りられるお金は警察官のポケットマネー
道府県が各自で制定している接遇費や応接費は、民間人にお金を貸すための経費として制定されているわけではありません。
公衆接遇弁償費のように、あらかじめ経費として交番に支給されているわけでもないんです。
しかし、公衆で緊急的に費用が必要になる場面はどこでも発生すること。
そんなとき、東京都以外の地域では警察官がポケットマネーで立て替えてくれます。
返済されることが前提で立て替えてくれるのですが、返済されないことが多々発生し、警察官の費用負担が大きくなっているのが現実。
そこで、警察官の費用負担を軽減するために、各道府県で接遇費や応接費という制度が設けられたのです。
各道府県の警察官が接遇費などを利用するためには、何枚かの書類を作成する必要があります。
警察官にそんな手間をかけさせない為にも、もしも交番でお金を借りたときは早急に返済してあげてくださいね。
返済しなければ逮捕される
交番等でお金を借りておいて返済しない人がいるなんて、にわかには信じがたい話ですよね。
でも、以下のように実際に逮捕された人がいるんです。
- 2010年 詐欺未遂で70代男性を逮捕
- 2012年 詐欺容疑で50代男性を逮捕
- 2015年 詐欺未遂容疑で50代男性を逮捕
帰るお金なくなったとウソをつき続ける手口でお金を借りていたようです。
犯行におよんだ理由は、“ネットカフェに行く”“年金だけでは生活が厳しい”などでした。
しかし、借りられるのは1回1,000円程度の金額。
何度も借りたとしても、大した金額にはならないはずです。
そんなことで詐欺の犯人になりたくないですよね?
本当に必要なときに相談し、借りたお金は速やかに返しましょうね。
ここまで交番でお金を借りる方法を紹介してきました。
次項では、外出先で帰宅費用がないと気づいたとき、交番のお世話にならずに解決する方法を紹介します。
交番でお金を借りずに済む2つの方法
外出先で「帰りのお金がない!」とピンチになっても、交番などでお金を借りることに抵抗ある人もいるはず。
警察官に事情を話したり借受願書を記入したり、お金を借りるまでの手間もありますからね。
そこで、交番にお世話にならずにこのピンチを切り抜ける方法を2つ紹介します。
- 家族や友だちに連絡
- タクシーで到着払い
家族や友だちに連絡
財布がなくても携帯電話が手元にあるなら、親・友だち・知人に電話をして迎えにきてもらえますよね。
カバンごと紛失してしまって携帯電話もない場合は、交番で電話を貸してもらいましょう。
いざという時のために、誰かの電話番号を暗記しておくといいですよ。
タクシーで到着払い
現金やクレジットカードがなくても、タクシーの運転手さんに事情を説明すると乗せてもらえる可能性があります。
自宅にお金があれば、到着後にお金を取りに行って支払えますからね。
まとめ
公衆接遇弁償費として借りたお金を返済しなくても、警察から返済の催促はされません。
でも、逮捕者が出ているのは事実ですから、借りたお金は返してくださいね。
あるはずのお金がなくなるとパニックになって冷静な判断ができなくなる人もいるでしょう。
そんな時は、お金を貸してもらえるかどうかは別として、交番に相談してみてください。
一緒に解決方法を考えてくれるはずですよ。
田中 宏一郎
交番からお金を借りることができることは、意外と知られていない事実です。
実際に利用する機会がなくとも、万が一のときに公的な機関を頼れるとわかると、ちょっと安心できますよね。
「財布を失くした!どうしよう・・・」というときは、心をいったん落ち着かせて、警察を頼ってみてください。