繰り上げ返済で奨学金の返済負担は減らせる

更新日:2018/02/21

日本学生支援機構の奨学金を利用している方や、学生時代に利用していたという方は多いですよね。
低い金利、もしくは無利息でお金を借りられる奨学金制度は学生の強い味方ですが、大変なのが卒業後に始まる返済です。
借りた金額にもよりますが、月々の割賦金だけを返済していると、完済までにはおよそ10年~20年もの年月を要してしまいます。

「できるだけ早く完済して、返済のストレスから解放されたい…!」
きっと、誰しもがそう思いますよね。
現在、ある程度金銭的に余裕があるのであれば、繰上返還を考えてみてもいいかもしれません。

繰上返還とは、返還期日の到来していない割賦金を前倒しで返還すること。
繰上返還をすれば、完済までの期間短縮ができるうえ、その期間にかかるはずだった利息分を節約することができるのです。


繰上返還が特に有効なのは第2種奨学金の利用者!


利息を節約できることが繰上返還のメリットの1つだと述べましたが、実際のところいくらくらい負担を軽減できるのでしょうか。

そもそも、第一種奨学金には利息が発生しないため、繰上返還をすることで負担を軽減できるのは、第二種奨学金の利用者だけとなります。

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奨学金の返済状況は千差万別であるため、いくら節約できるのかは一概には言えない、というのが正直なところです。
たとえば、返還期間は何年で返還回数は何回なのか、一括繰上か部分繰上か…などによって、大きく異なってくるのです。

ここでは、第二種奨学金の利用者が部分繰上した場合の例をご紹介します。

例:第二種奨学金を返還中のA子さんの場合
  • 借用金額 1,200,000円
  • 年利率 1.9333333%
  • 月賦返還
  • 返済回数 144回(うち1回~33回までは返還済み)
通常返還の場合 34回目~43回目の総返還額は、94,230円
繰上返還した場合 34回目(当月分)+35回目~43回目(繰上分)で、総返還額は、81,043円

つまり、繰上返還した場合、通常返還した場合にかかる35回目~43回目の利息13,187円(=94,230円-81,043円)がかからない!

また、43回目まで返還を終えたことになるので、次回は44回目の扱いとなる
→返済期間が9か月短縮されたことになる

参考:繰上返還例(日本学生支援機構HP)

9回分の返済額を部分繰上することによって、13,187円の利息を節約することができました。
この例からもわかるように、第二種奨学金の利用者が繰上返還をする場合、繰上額が大きければ大きいほど、利息が節約できることになります。

また、利息は元金に対して発生するため、利息負担が大きいのは元金が多い初期の段階です。

月々の返済額は同じでも、返済をはじめたばかりのころの内訳は、利息の割合が大きくなっているというわけ。

ですから、早い段階で繰上返還をすればするほど、その後の利息負担を軽減することができるのです。

もっとも効果が大きいのは、残りの全額を一気に返してしまう「一括繰上」ですね。
完済すると、日本学生支援機構から返還完了通知が送られてきます。


繰上返還の申し込み方法は3つ


奨学金の繰上返還を行うためには、日本学生支援機構への申し込みが必要です。
申し込み方法は大きく分けて3つありますので、ご自身に合った方法を選びましょう。

スカラネット・パーソナルから申し込み

スカラネット・パーソナルとは、現在奨学金の貸与を受けている、または返還中の方であれば、誰でも利用することができるインターネット上のシステムのこと(登録が必要)。
すべての手続きをネットで行えるため、もっとも手軽な申し込み方法だといえます。

スカラネット・パーソナルからの申し込み期間は、繰上返還を希望する月の前月中旬~当月中旬となっています。
つまり、2月に繰り上げて返済したい場合は、1月中旬~2月中旬の間に申し込めばいいということですね。

電話で申し込み

電話で申し込む場合は、奨学金返還相談センターのナビダイヤルに連絡します。

電話:0570-666-301
平日の8時30分~20時まで受け付け(土日祝・年末年始を除く)

申し込める時間帯や曜日が限られているので注意してくださいね。
申し込み期間は、繰上返還を希望する月の前月です。

スマートフォン操作

申し込みが受理されると、繰上返還の引き落としをする月の中旬頃、日本学生支援機構より金額を記した文書の通知が届きます。

また、公式HPに「現在、奨学金を受けている方のお問い合わせは、原則各学校へ」との記載がありますので、在学生の方はまず大学に問い合わせるようにしてください。

郵送・FAXで申し込み

郵送・FAXで申し込む場合は、まず日本学生支援機構のHPより「繰上返還申込書」のPDFファイルをダウンロード・印刷し、必要事項を記入のうえ提出します。

宛先:〒162-8412 
東京都新宿区市谷本村町10-7 日本学生支援機構 奨学事務センター
FAX:03-6743-6683

申し込みの締め切りは、繰上返還を希望する月の振替日の一か月前となっています。
また、繰上返還の振替希望月は、繰上返還申込書の提出日より3か月以内で記入してください。

繰上返還申込書に記入漏れがあると、希望した月に繰上返還ができなくなる可能性がありますので気をつけましょう。

郵送・FAXで申し込むと、電話で申し込んだときと同じく、繰上返還の引き落としをする月の中旬頃に金額を記した文書の通知が届きます。


在学中・据置期間中も繰上返還できる


繰上返還ができるようになるのは、何も働き出してから数年経ってからというわけではありません。

卒業後の据置期間中、または在学中であっても、繰上返還を行うことができます。

少しイレギュラーな3つのケースを見ていきましょう。

在学中

在学中に返済が発生するケースとして考えられるのは、奨学金の辞退です。
そもそも奨学金は1年ごとに契約を更新するシステムであるため、1年間奨学金を利用していたけれど2年目からは必要なくなった、などという場合は辞退することができるのです。

在学中に辞退した場合は、在学猶予を申請することで、卒業するまで返還期限を延ばしてもらうことができます。
しかし、「すぐに返済をはじめたい」という場合はその限りでなく、繰上返還を行うこともできるのです。
在学中、第二種奨学金の利息はかからないため、借りた分だけの返済で済むのがメリットだと言えます。

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繰上返還の申し込みは、一般的なケースと同じで、スカラネット・パーソナルまたは電話・郵送・FAXから行います。
借りたけれど手をつけなかった、などという場合は、一括で繰り上げ返済してしまうといいでしょう。

保証人を立てずに機関保証制度を利用していた場合、在学中に返還を完了させると、保証料の約7割が返ってくるというメリットもあります。

繰上返還は、学校が辞退処理をした月の翌月または翌々月からできるようになります。
経済的に可能であれば、在学中にすべて返してしまうのが賢いやり方かもしれません。

据置期間中(卒業後)

奨学金の返済がはじまるのは卒業してから7か月めで、それまでの6か月の猶予を「据置(すえおき)期間」と呼びます。
希望するのであれば、この据置期間中にも繰上返還を行うことができます。

3月に卒業する場合は、申込期間にスカラネット・パーソナルから申し込みましょう。
※3月以外に卒業する方は、卒業する月の前月中に、機構に「繰上返還申込書」を郵便又はFAXで送付してください

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据置期間中に完済した場合も、在学中と同じく、機関保証制度の保証料のうち約7割が返ってくることになります。
また、第二種奨学金を利用していた場合、据置期間中にも利息は発生しますので、可能であればこの時点での繰上返還を行った方がいいでしょう。

退学後

なんらかの理由で大学を辞めた場合にも、通常は、返済開始まで6か月の据置期間が設けられます。
たとえば6月に退学手続きをした場合、はじめての返済日は1月27日となるわけですね。
ですが、この場合も卒業後と同じく、繰上返還を行うことが可能となります。

繰上返還が行えるようになるのは、学校が退学の処理をした月の翌月、または翌々月からです。

また、いずれの場合も、奨学金の貸与を受けながら返還を行うことはできません。
繰上返還ができるようになるのは、貸与の辞退、もしくは満期後からとなりますので気をつけてくださいね。


ライフプランに合わせた返済計画を!


ここまで奨学金の繰上返還について紹介してきましたが、必ずしも「繰上返還をして一刻も早く完済した方がいい」とは限りません。
当然ながら、デメリットが生じるケースもあるのです。

たとえば、奨学金の返済に一生懸命になるあまり、生活に支障をきたしてしまってはどうでしょうか?
住宅ローンを組む予定があったり、結婚を控えている場合ならば、少しでも手元にお金を置いておきたいと思うかもしれませんね。

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繰上返還は、あくまでも返済にかかる期間を短くするため、利息負担を減らすためにとる手段です。
繰り上げて返済したからといって、翌月以降の最低返済額が少なくなるわけでもないのです。

ですから、奨学金の返済は、くれぐれも無理のない範囲で行うことが大切です。
繰上返還に注力するあまり、生活に悪影響を及ぼしてしまっては本末転倒ですよね。

「一刻も早く返してすっきりさせたい!」というなら返済を優先させた方がいいでしょうし、「マイホーム購入や結婚に向けて資金を貯めていきたい」と考えるのならば、毎月コツコツ返済しながら、並行して貯金をしていくといいでしょう。

奨学金の返済をどれだけ優先させるかは、あなたの考えやライフプランに基づいて決めるのが一番です。
周囲の情報に振り回されるのではなく、家族やご自身の意思を尊重するようにしてくださいね。

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