過払い金請求の原因を時系列に紹介!KWはグレーゾーン金利とみなし弁済

更新日:2020/07/10

過払い金とは、金融機関借入に対して払いすぎた利息のこと。

本来なら支払う必要のなかったお金なので、返還請求をすることで、払いすぎた利息を取り戻せる場合があります。

過払い請求をする金田君の画像

ところで、なぜ過払い金などというお金が発生してしまったのでしょうか?

その原因には、グレーゾーン金利みなし弁済が大きく関わっているんです。

この記事では、過払い金が生まれた原因を、時系列に沿って解説していきます。

まずは重要なKWのひとつ、グレーゾーン金利について見ていきましょう。

グレーゾーン金利とは

過払い金の請求の対象はいわゆるグレーゾーン金利と呼ばれる金利で貸付されていた契約です。

かつて利息制限法と出資法では上限金利の規定が異なっていた時代がありました。
現在ではどちらの上限金利も最大で年20.0%になっています。
これは出資法の上限金利が段階的に下げられてきた結果です。

出資法の上限金利が今の金利になる直前では、年29.2%が上限金利でした。
この時期のグレーゾーン金利は、具体的には年20.0%を超え年29.2%までの金利のことをいいます。

つまりグレーゾーン金利は利息制限法と出資法の上限金利が違っていた時期の金利なのです。

もちろん現在ではグレーゾーン金利は存在しませんが、過去にグレーゾーン金利で貸付を受けていた場合は、過払い金の請求ができる可能性があるということですね。


つづいてはもうひとつの重要KW、みなし弁済について解説します。

みなし弁済とは

みなし弁済もグレーゾーン金利も、現在では法改正により撤廃されています。

みなし弁済とは「条件を貸金業者が満たしていれば、債務者が上限金利を超える貸付を受けていても過払いの請求はできなくなる」というもの。

この規定の条件は以下の5つです。

  1. 登録の貸金業者である
  2. 貸付け時に契約書を書面で交付している
  3. 弁済を受けたときに受領書を書面で交付している
  4. 債務者が利息と認識した上で、契約の利息を支払っていた
  5. 債務者が任意で契約の利息を支払っていたこと
みなし弁済の規定条件をイラストで解説

みなし弁済の条件5つのイメージ画像みなし弁済の条件5つのイメージ画像みなし弁済の条件5つのイメージ画像
みなし弁済の条件5つのイメージ画像みなし弁済の条件5つのイメージ画像

本来、利息制限法の上限を超えるグレーゾーン金利は無効であるはずですが、みなし弁済規定によってグレーゾーン金利が有効となる関係にあります。

上記の条件を貸金業者が満たすことは、以前はそれほど難しいことではなかったため、グレーゾーン金利での貸付は消費者金融だけでなく大手のクレジットカード会社のキャッシングでも行われていました。

しかし、平成18年1月13日最高裁判決によって、みなし弁済は実質的に無効化なったんです。


次の項目では、過払い金請求の原因となったグレーゾーン金利とみなし弁済がどのような経緯で撤廃されることになったのかを、過去の最高裁判例を振り返りながら解説します。

時系列で見る過払い金発生の原因

なぜ過払い金が発生するようになったのかは、過去の最高裁判所の判例を時系列で見ていくとよくわかります。

裁判のイメージ画像

貸金業者にとっては過払い金が発生すると、すでに利益とみなしていたお金を顧客に返さなければいけなくなります。

貸金業者にとってこれは絶対に避けたいことなので、裁判で争ってまでも過払い金の返還を阻止する必要がありました。

その結果、過払い金に関する最高裁判所の重要な判例が数多く残っています。

それでは過払い金返還にとって重要な判決を時系列順に見ていきましょう。

昭和39年11月18日最高裁判決
元金から過払い分を引くことが肯定される

現在過払い金の計算をしたり、債務整理で計算し直したりするときに、払いすぎている利息を元本に充当できる根拠がこの判決にあります。

この判決で重要なポイントは以下の1点。

利息制限法の上限金利を超えて支払った利息は、上限を超える部分は元本に充当することを相当とする。

この判決があるまで、任意で支払っている上限利息を超えた部分は、返還請求ができないというルールでした(利息制限法1条および4条)。

上限利息を超えた部分は返還請求できないのですから、利息としてそのまま充当されるのが当然の時代だったんです。

昭和39年当時の利息超過分の扱い方についてのイメージ画像当時の過払い金の扱いについて↑

しかし、昭和39年11月18日最高裁判決では、あくまでも返還請求できないというだけであって、元本に充当できないという意味ではないと解釈。

この判決によって、払いすぎた利息が、今借りている金額からマイナスできるようになりました

昭和43年10月29日最高裁判決
過払い分を元金に充てることが決定!

わかりやすくするために、昭和39年11月18日最高裁判決を<前判決>、昭和43年10月29日最高裁判決を<当判決>と呼ぶことにします。

前判決では、上限利息を超過した部分は元本に充当されると判断しました。
当判決ではそれをさらにすすめて具体的に当事者間で充当の優先順位をどのように取り扱うかを判断したのです。

当判決によって利息の引き直し計算で、過払い部分が優先的に元金に充当できるようになり、結果として過払い金の請求が可能となりました。

昭和43年に下された判決内容の解説画像

一般的に借りたお金を弁済するときに、どのような順番で充当するのかは、お金を借りたときの契約書で定めています。

しかし、ほとんどの場合は貸した側(債権者)の都合を優先しているので、利息から充当されることが多く、前判決の意味がなくなる恐れがありました。

一般的な充当順位は以下のケースがほとんどです。

  1. 利息
  2. 遅延損害金
  3. 元本

しかし当時の遅延損害金の金利はかなりの高利だったので、元本にはほとんど充当されません。

そうなると利息制限法の上限金利で計算し直したとしても、利息や遅延損害金にさきに充当されている限り元本はほとんど減ることはなくなります。

そこで当判決では前判決にならって、契約上の充当順位の特約に関係なく、元金に充当すべきと判断しました。

その根拠は以下の通り。

  1. 上限利息を超えた部分は無効とされるのだから、本来は存在していない。
  2. 本来存在していないものは、契約書で充当の弁済順を定めた特約の対象外となる。
  3. 前判決通りに元本に充当するのが正しい

前判決を実効化したという意味で当判決は重要です。

ただ、ここまでの判決ではいまだに過払い金の返還そのものは認められていません。

次はいよいよ過払い金の返還請求が認められた最も重要な判決となります。

昭和43年11月13日最高裁判決
過払い分のお金が返還請求できるようになった

利息制限法では1条と4条で「債務者において超過部分を任意に支払ったときは、その返還を請求することができない」と明確に規定されていることをお伝えしました。

本判決ではこの規定を否定せずに、その上で超過部分の返還を請求できることを認めた画期的な判決です。

昭和43年過払い金請求のイメージ画像

本判決では、利息制限法の1条と4条を以下のように解釈し、最終的に返還請求を認めたのです。

  1. 利息制限法1条と4条が適用されるのは元本請求が存在していることが前提(元本がなければ利息も発生しないから)
  2. 上限超過利息はすべて元本に充当される(昭和39年11月18日最高裁判決)
  3. 上限超過利息がすべて元本に充当されると、超過部分については元本でなくなる
  4. 元本が存在しないので1条と4条には抵触しない
  5. したがって超過部分の返還請求ができる

これで最高裁によって超過利息の返還請求が認められたわけですが、実際に返還請求がすぐに増加したわけではありません。

次に解説する判決が出たことによって、過払い金の返還請求に拍車がかかったのです。

平成18年1月13日最高裁判決
みなし弁済の無効化が決定した

最後に過払い金の請求をするときに最もネックとなっていたみなし弁済を否定した判決をご紹介します。

みなし弁済については詳しく後述するので簡単に言うと、貸金業者が貸付け時に一定の条件を満たしていれば、借りた側は過払い金の請求ができないという業者よりの規定です。

この判決によって、みなし弁済はほぼ認められない特例中の特例となりました。

平成18年1月13日最高裁判決によるみなし弁済の解釈と根拠は以下のとおりです。

  1. みなし弁済の要件は厳格に解釈しなければならない(返済は本人の自由意志によらなければいけない)
  2. 強制を受けて支払った場合は、本人の自由意志による支払いとはいえない
  3. 期限の利益喪失特約がある契約では、事実上超過部分の返済が強制されるので、みなし弁済は適用されない

期限の利益喪失特約は、一度でも返済を怠ると、分割払いの効力がなくなり(期限の利益を喪失し)、残金を一括して支払うという特約。

この特約があることで事実上超過利息の返済を強制しているので、みなし弁済は認められないという趣旨の判決です。

しかも、期限の利益喪失特約のない契約はほとんど存在しないので、みなし弁済の条項自体をほとんど無効とする解釈となっています。

この判決によってその後過払い金の請求件数は増加し、消費者金融をはじめとした貸金業者に大きなダメージを与えることになりました。


ここまでが、過払い金請求の原因となったグレーゾーン金利とみなし弁済についての解説となります。

では最後に補足情報として、過払い金請求のできる借入にはいったいどんなものがあるのか、また過払い金請求はどのような方法で行うのかを紹介させてください。

過払い金請求できる借入

過払い金が請求できる借入には次のものがあります。

  • ・年20.0%を超える金利で借りた融資
  • ・貸付した業者が存在している(事業継承している)
  • ・消滅時効に該当しない

過払い金の対象となるのは一般的に金銭消費貸借契約と呼ばれる契約によってお金の貸付を受けた場合。

さらに年20.0%を超える金利で貸付を受けていれば、年20.0%を超える部分について過払い請求が可能です。

もちろん貸金業者が廃業せずに現在も存在している、あるいは他社に事業継承(譲渡)をしていることも重要なポイント。

請求する相手がいなくては話になりませんからね。

消滅時効については後ほど個別に詳しく解説します。

過払い金請求できない借入

いっぽう、過払い請求できない借入は以下のとおりです。

  • 銀行カードローンによる借入
  • クレジットカードのショッピング枠の利用

銀行カードローンは年20.0%を超えた貸付をしていないので、当然過払い金返還の対象外です。銀行カードローンだけでなく年20.0%以下の貸付はすべて対象外と考えましょう。

クレジットカードのショッピング利用は借入ではなく立替払い契約と呼ばれる契約なので、過払い金の請求対象外となります。ただし、キャッシングは対象となります。

そして、もちろん対象となる借入であっても時効期間を超えたものについては請求することはできません。

次に時効について解説します。

時効を迎えた借金は過払い金請求不可

法律では一定の時間を経過すると権利が消滅する場合と、権利が発生する場合があります。

権利が消滅するものを消滅時効と呼び、過払い金の請求にも消滅時効があります。

過払い金の請求の消滅時効の期間は10年

過払い金の請求を検討している人が心配するのは、時効はいつからカウントされるのかということですね。

過払い金請求の消滅時効は契約終了日から10年です。

そのため、証書貸付と呼ばれる契約で一度限りの借入をした場合は、よほど長い返済期間で契約していない限りすでに消滅時効が完成していると考えられます。

しかし、カードローンやクレジットカードのキャッシングなどは、解約しない限り自動継続なので、まだ契約が終了していない可能性がありますね。

カード形式の貸付の場合は繰り返し利用できるので、最終取引日が消滅時効の起算日です(最高裁の判例)。

ですから、カード契約が今でも残っていれば、最終取引から10年を超えない限り過払い金の請求ができますよ。

過払い金請求の方法

過払い金の請求は、司法書士や弁護士などの専門家に依頼する方法と、自分で請求する方法があります。

司法書士や弁護士など専門家に依頼する

過払い金請求を司法書士や弁護士に依頼したときのイメージ

ここまで解説したとおり過払い金の請求にはいろいろな条件があったり、消滅時効があったりと法律の専門家でなければ判断が難しい点があります。

また、基本的には裁判所に申し立てして請求するので、必要な書類も準備する必要がありますね。

たとえば、取引履歴は必須の書類で、その履歴に基づいて上限利息で金利の引き直しをすることも必要。

取引履歴は貸金業者に請求する必要があり、金利の計算も間違えることができないものです。

こうした点を考えると報酬が発生するとはいえ、弁護士などの専門家に相談するのが最善策です。

過払い金が発生しなければ相談料などは無料という弁護士事務所も多いので、とりあえず相談してみましょう。

自分で金融機関に請求する

司法書士や弁護士に相談せずに自分で過払い金を請求する方法もあります。

ただし手続きするための流れを把握しておかなければならないので、自分で請求するのはあまりおすすめできません。
しかし対象の契約が1件しかないといったときは、弁護士への報酬を考えると自分でやった方がいい場合もあります。

特にクレジットカード会社や信販会社が相手の場合は、裁判所を経由しなくても電話で相談すれば、必要書類を揃えて送付するだけで過払い金を返還してくれることもあります。

請求先がクレジットカード会社の場合は、まずはクレジットカード会社に直接相談してみましょう。

消費者金融と違って融資専門会社ではない分、親切に対応してくれる会社が多いですよ。

まとめ

過払い金が発生した原因をまとめてみると以下のようになります。

  • ・利息制限法と出資法の上限金利の違い(グレーゾーンの発生)
  • ・最高裁判決によりみなし弁済条項が形骸化

そもそも利息制限法と出資法の上限金利が同じであれば、グレーゾーン金利も発生せず、過払い金も存在しませんでした。

しかし、過払い金の請求が一般的にも認知されて、消費者金融やクレジット会社の経営にまで大きな影響を与えるようになったのは、みなし弁済の無効化による影響が大きいことがわかります。

これは消費者保護を目的とした一連の最高裁判決のおかげというべきでしょう。

過払い金の請求については消滅時効にさえ気をつければ、今でも十分に請求できる可能性もあります。

気になる人は一度専門家に無料相談をしてみましょう。