自然災害により被災したときに受けられる給付やローン返済措置

更新日:2018/10/05

地震 台風 津波など、自然災害に対して不安や恐怖を感じる方は多いと思います。

自然災害が起こると一瞬で今までの生活が奪われ、明日からどうしていけばいいのかと思いながら過ごす日々はどれだけツラいことでしょう。

住宅ローンなどがある場合は、毎月の返済ができなくなることも予想されます。
そんなときは被災者に寄り添う国や自治体、金融機関の制度を利用してください。

被災したときは冷静でいられないと思いますが、お金の問題を解決できれば生活再建の一歩になるはずです。

自然災害時の給付と貸付制度

台風や地震などの自然災害に見舞われると、さまざまな被害が考えられますが、なかでも住宅の再建費やこれからの生活資金など、まず確保しなければならない資金があると思います。

そんなとき利用したいのが、国や自治体からの支援制度。どんな制度があるのかみていきましょう。

 災害弔慰金(申請不要)
 自然災害により家族が亡くなってしまったときに受けられる給付
 ・生計維持者が死亡した場合 500万円
 ・その他の者が死亡した場合 250万円
 災害障害見舞金(申請不要)
 自然災害により重度の障害を受けた方が受けられる給付
 ・生計維持者が重度障害を受けた場合 250万円
 ・その他の者が重度障害を受けた場合 125万円   
 生活再建支援金(申請要)
 1.自然災害により住宅が被害にあったときに被害程度に応じて支給される
  ・全壊 解体 長期避難 いずれも100万円
  ・大規模半壊50万円
 2.住宅を再建する方法に応じて支給される
  ・建設 購入 200万円
  ・補修 100万円
  ・賃貸(公営住宅除く) 50万円

市町村へ申請し、罹災証明書 住民票 契約書などを提出します。
※罹災証明書(りさいしょうめいしょ)とは、自然災害により被災した家屋などの被害程度を証明する書類

災害援護資金(申請要 返済義務あり)
 自然災害により負傷または住宅や家財に被害を受けた場合に借りられる
 ・最大350万円
 ・貸付制度なので返済義務あり
 ・金利:年率3.0%(措置期間35年は無利子)
 ・災害援護資金借入申請書 身分証明書の写しなどを提出
 ・連帯保証人が必要

被災した方に対する支給や貸付制度がいくつもありますので、被害に見舞われても不安にならず給付を待ったり申請をおこなったりしてください。
国だけでなく、地方自治体でも被災者に対しする支援があります。
例えば平成28年熊本地震では、全国や海外から寄せられた義援金が分配されたり、住宅再建費用を金融機関などから借りた場合の利子を助成したりしていました。

地方ごとの取り組みはそれぞれ違いますので、お住まいになっている市区町村のHPで確認ください。

地方自治体の対応例
・東京都江東区では、小口福祉資金の貸し付けや保険料の減免、徴収猶予制度などがある。
・京都市では災害見舞金として被害に応じて支給する。

自然災害による住宅ローンやカードローンなどの債務整理

201512月、地震に限らず幅広い災害を対象にした「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」が策定されました。

このガイドラインを利用できるのは、2015.9.2以降に災害救助法が適用された対象災害に限られますが、ニュースになるような大きな自然災害はほぼ該当しています。

災害救助法……災害に際し国などが応急的に必要な救助をおこない被災者の保護と社会秩序の保全を目的としている決まり

自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインを利用すれば、住宅ローンやカードローンが債務免除もしくは減額してもらうことが可能。また、通常の債務整理とは違うため下記のようなメリットがあります。

・ブラックリストにのらない 
・最大500万と最大250万の家財保険金のほか災害弔慰金や義援金などを手元に残せる
・連帯保証人も制度を利用できる

 ブラックリストにのらないということは、信用情報に傷がつくことがないので債務整理後すぐに新たなローンを組むこともできます。
二重ローンに苦しまない程度に借り入れをし、生活再建に役立てるのがいいでしょう。

※信用情報とは、住宅ローンやカードローンなどの過去と現在の利用状況や住所や年収などの属性情報を集約した情報のこと。CIC JICC JBAという3つの信用情報機関で管理しています。

信用情報に傷がつくと金融機関は返済能力が低いと判断し審査をパスできず、新たなローンを組むことができません。ところが自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインを利用することで、ブラックリストに乗ることから免れます。 

自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインを利用する手続きは以下のとおりです。

金融機関等の対象債権者に自然災害債務整理ガイドライン利用を申し出る

債権者から手続の同意が得られたら登録支援専門家(弁護士など)に依頼
 ※申出書などの必要書類を提出し債務整理開始の申し出ると督促や返済は一旦停止

債権者との協議をつうじて債務整理の内容を盛り込んだ調停条項案を作成

調停条項案を債権者に提出し説明する
※債権者は1か月以内に同意するか否かを回答

債権者から同意を得られたら簡易裁判所へ特定調停を申し立てる

特定調停手続により調停条項が確定すれば債務整理成立

手続完了まで半年くらいかかりますが、被災してローンの返済で苦しむことを考えれば自然災害債務整理ガイドラインを利用して債務整理をする時間はけっして無駄ではないと思います。

登録支援専門家が手続支援をしてくれるので不安も軽減するでしょうし、なにより登録支援専門家への費用は国が全額負担しますので、安心して手続をおこなうことができるはずですよ。

ガイドラインについて詳しく知りたい方は下記よりご確認ください。

一般社団法人 自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関公式サイト

ガイドラインを利用しない債務整理

自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインを利用せず、通常の債務整理をおこなうことも可能です。

通常の債務整理であれば被災者であることを証明する必要はありませんし、どの弁護士を選んでもかまいません。
なお、債務整理には「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」の4種類があり、それぞれに特徴は以下のとおりです。

・任意整理
 債権者と直接交渉することで、借金の額や返済方法を再設定する手続き。
 参照:東京弁護士会公式サイト / 任意整理
・特定調停
 簡易裁判所に申し立てて債権者と話し合い、返済額と返済方法を再設定する手続き。
 調停委員や裁判官が話し合いの間に入る。
 参照:東京簡易裁判所公式サイト / 特定調停申立てQ&A
 ・個人再生
 裁判所に申し立てて借金額を大幅に減額してもらう手続き。
 住宅資金特別条項制度により住宅ローンだけそのままに、他の借金を減額し自宅を守る。
 参照:東京弁護士会公式サイト / 個人再生
・自己破産
 裁判所に申し立てすべての借金の返済義務をゼロにしてもらう手続き。
 破産手続をすると、借金はなくなるが目立った財産はいったんすべて失う。
 ※20万を超える預貯金 生命保険 車や不動産など
 ※※生活に必要最低限の財産は手元に残せ、自己破産後の給料などは取られない
参照:東京弁護士会公式サイト / 自己破産

それぞれに特徴があり、ご自身が希望する債務整理の方法を選ぶことができます。

ガイドラインを利用するときとの違いは、弁護士費用がかかることや信用情報に傷がついてしまう点には注意してください。

自然災害後の銀行や消費者金融の対応

ローンを組んでいる銀行や消費者金融でも、自然災害が発生した後さまざまな対応がなされます。

銀行の対応

まずは銀行の取組み。なかでもメガバンク3行の対応をチェックします。

メガバンク3行の対応
三菱UFJ銀行:住宅ローン、無担保ローンの金利優遇
三井住友銀行:住宅ローン、リフォームローンの金利を年率1.85%引き下げ
みずほ銀行:住宅ローンの金利を年率1.85%引き下げ、リフォームローンの金利を年率1.0%引き下げ、多目的ローンの金利を年率2.0%引き下げ

 こうした対応は災害時、随時発表されます。ライフラインが復旧したときに忘れず確認してください。

また、全国銀行協会に返済や借り入れについて相談することもできます。

全国銀行協会相談室
 0570-017109
 03-5252-3772
※受付日:月~金曜日の祝日、銀行休業日を除く 受付時間:9時~17時まで

全国銀行協会は「被災したときはまず利用している銀行へ連絡してください」と案内していますが、利用銀行に連絡がつかないときは、上記連絡先に電話することをおすすめします。

消費者金融の対応

消費者金融については、日本貸金業協会より消費者金融にたいして以下のように随時適切に対応するよう指示しつつ、相談窓口電話も設けています。

・被災者からの借入申込や債務の支払い条件の変更申込等の相談等について、被災者の要請内容や被災状況等の生活実態を踏まえて、きめ細かく丁寧に対応する
・督促等の回収業務にあたっては、特に被災状況等を十分に配慮したうえでカウンセリングを中心とした対応に努める
借入返済相談窓口
 0570-051-051
 03-5739-3861
※受付日:土日祝日と12/29~1/4を除いた月~金曜日 受付時間:9時~17時まで

 また各消費者金融でも相談窓口電話が設けられています。

SMBCコンシューマーファイナンス プロミス:0120-24-0365(平日9時~22時)
三菱UFJフィナンシャル・グループ アコム:0120-629-215(平日9時~18時)
新生フィナンシャル レイクALSA0120-09-09-09(平日9時~18時)

銀行のように具体的な金利引き下げなどの対応は明記されていませんが、今までのように返済できない場合は遠慮せず相談するようにしてください。

いざというときの備え「特約付きの住宅ローン」

銀行で住宅ローンを組む際、「もしも自然災害にあってしまったら」という備えになる特約付きの住宅ローンプランを選択するのも1つの方法だと思います。

例えば以下のようなプランが用意されています。

 ・三井住友銀行

「自然災害時返済一部免除特約付住宅ローン 約定返済保険型」
 地震 台風 豪雨などの自然災害で被害を受けた場合、住宅ローン返済の一部を免除(払い戻し)
※払い戻とは、住宅ローンの一部を消滅させた上で払い戻し対象期間の返済全部もしくは一部を払い戻すこと。
 被災日から罹災証明書を提出した翌月分まで一括で受け取り、残りは毎回返済分を数日後に受け取る。
 ・全壊した場合、約定返済24回免除
 ・大規模半壊した場合、約定返済12回免除
 ・半壊した場合、約定返済6回免除
「自然災害時返済一部免除特約付住宅ローン 残高保証型」
 地震 噴火 津波の3つの自然災害で住宅が全壊した場合、ローン残高の50%相当免除。

・みずほ銀行

「自然災害支援ローン 約定返済プラン」
 地震 風災 水災などの自然災害でマイホームが被害を受けた場合に返済が免除(払い戻し)
 ・全壊した場合、約定返済24回免除
 ・大規模半壊した場合、約定返済12回免除
 ・半壊した場合、約定返済6回免除
「自然災害支援ローン 残高補償プラン」
 地震 津波 噴火の3つの自然災害で購入 建築 増築などの住宅ローンで取得したマイホームが全壊したら場合、ローン残高の50%相当を消滅。

 数十年以内に大規模地震が発生すると言われていますが、それだけでなく台風などの自然災害によって住宅が被害を受ける可能性もあります。

大切なマイホームを守るために備えある住宅ローンプランを選択するのは良いかもしれませんね。

まとめ

自然災害により被害を受けたときの給付制度と金融機関の対応をお伝えしました。

ポイントをまとめますと・・・

・自然災害により生計維持者が死亡した場合500万円、重度の障害を受けた場合は250万円の給付を受けられる
・自然災害により自宅が全壊などしたら100万円、建築・購入した場合は200万円の給付を受けることができる
・お住まいの地域にその他給付や保険料免除があるか確認
・自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインを利用すると、信用情報に傷がつかないし、最大500万と最大250万の家財保険金などが手元に残せる
・自然災害後、銀行ではローンの金利が引き下げる措置がとられる
・消費者金融のカードローン返済については利用先に相談する
・住宅ローンを組むときは自然災害時の特約付きプランを検討する

 少し難しい言葉がたくさん並んでしまいましたが、ご紹介したどれもが自然災害によって被災した方を救済するために大事な内容でした。

被災した直後に今回ご紹介したすべてのことを思い出して行動するのは難しいかもしれません。

ただ、被災しても国や自治体、金融機関が被災者に寄り添う対応をしてくれることが分かっているだけでも、大きな不安から少しは解放されるのではないでしょうか。

被災したときは「自分の力だけでなんとかしよう」と考えず、たくさんの方や団体の優しさに頼ることが大切です。