会社員は特に必見!年末調整していても確定申告が必要なことがある!

更新日:2018/05/31

年の瀬になると、会社の担当者から「年末調整」と言われて、さまざまな書類を提出しますよね。
ですが、いったい何のためにそれらの書類を提出しているのか、疑問に思われている方も多いと思います。

そして続いて年明けには、自治体の広報などで「確定申告」がさかんに喧伝されます。
この確定申告、自営業者のためのものだから自分には関係ないとお考えの方も多いのではないでしょうか?

実はそれは、誤りです。

今回は、いまさら誰にも相談できない、納税の基本の「き」である「年末調整」と「確定申告」という2つの制度の、違いから必要性まで解説します!

自営業者は確定申告で納税。会社員は勤め先が代わりに納税。

まずは、自営業者と会社員の納税の仕方について、押さえておきたいと思います。

日本に住み所得を得ているのなら、必ず所得税と住民税(都道府県民税・市町村民税)を納めなければなりません。
収入から必要経費などの支出を差し引いたものを所得と呼びますが、この所得に応じて、これらの税は課税されます。

自営業者は、年明けの2月~3月に、昨年1月~12月までの収入と経費を計算し、事業所得を「確定」させて税務署に「申告」することで、自ら納税しなければなりません。
これを「申告納税制」と言います。

この所得金額と納税額を「確定」させて「申告」する手続きを、「確定申告」と呼ぶのです。
もちろん、申告内容は税務署によってチェックされておりますので、ミスや偽りがあれば「申告漏れ」「脱税」などとして扱われ、場合によっては追徴課税されることになります。

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一方、給与所得者である会社員は自ら所得税や住民税を納める必要がありません。
毎月のお給料から勤務先が天引きしてくれているからです。

このため、自営業者は納税のために必要な、一定額を納税のために用意しておくということが、会社員には必要ないのです。
会社が社員に代わって納税してくれるので、会社員には「確定申告」の必要は、原則ありません。
会社員でも確定申告をすることによって払い過ぎた税が還付されることがありますが、そのことについては後で述べることにします。

また、小規模事業所だと納税業務を行っていないこともあるので、その場合は会社員でも確定申告をする必要があります。

なお、所得のない専業主婦(夫)には所得税や住民税の納税義務はありません。

会社員が納めすぎた税金は、年末調整で還付される

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企業には、従業員の所得税や住民税を代わりに納付する義務があります。
このため、企業は従業員に支払うお給料から、毎月一定額を天引きすることになります。

ですが、実はこの毎月の天引き納税額は、見込みで算出されている、かなりいい加減なものなのです。
1年の途中でお給料が増減することもあるし、その結果適用される税率が変わることもあるわけですから、正確に納税額を算出するのは不可能なのですが。
それゆえ、企業は「年末」にその社員の納税額を正確に計算し、納めすぎていたお金は従業員に返し、不足が生じるなら12月のお給料から差し引くというように、天引き額を「調整」するのです。

これが、「年末調整」です。

また、所得は収入マイナス必要経費(会社員なら給与所得控除と基礎控除)で算出されるのですが、年末調整時に申告することで、それ以外にも様々な理由で所得税額は圧縮されます。
年末調整時に申告して適用される所得控除には、主に以下のものがあります。

配偶者控除
扶養控除
所得額が年38万円以下の配偶者や扶養家族がいると配偶者特別控除を受けられる。
生命保険料控除 生命保険料を支払っていれば生命保険料控除証明書を発行してもらえます。
会社員の方は年末調整時、自営者は確定申告時に添付すれば控除が受けられる。
個人年金保険料控除と介護保険料控除も合わせて、生命保険料控除制度全体で合計12万円が所得控除される。
地震保険料控除 地震保険料を支払っていれば受けられる。
住宅借入金等特別控除 住宅ローンを返済していれば受けられる。「住宅ローン減税」と呼ばれる。
社会保険料控除 扶養家族以外にも、親族の社会保険料を支払っていれば受けられる。
小規模企業共済掛金控除 確定拠出年金法による個人型年金の掛金などを支払っていれば受けられる。

※それぞれに、適用要件や上限があるので注意しましょう。

1人1人の従業員について、上記のことを会社は把握できません。
個人的な事柄ですから、把握されていたらむしろ怖いですよね。
ですから、年末調整のときに書類を提出して所得税額を圧縮し、納めすぎた税金を還付してもらわなければならないのです。

年末の少し前に、保険会社や住宅ローンの金融機関から証明書が自宅に送付されますので、勤務先に提出するまできちんと保管しておきましょう。(紛失すれば、再発行してもらえます)

「年末調整」していても「確定申告」しなければならないことがある

先ほど、勤務先が納税手続きを行ってくれる(=年末調整がある)会社員なら、原則確定申告の必要はない、と述べました。
しかし、会社員でも確定申告をしなければならないこともあります。

会社員でも確定申告をしなければならない人

・給与収入が年収2,000万円を超える人
・2つ以上の勤め先から給与や賃金をもらっている人(兼業している人)
・給与以外に20万円以上の所得がある人(副収入がある人)

確定申告しなければならないのにしなければ、「申告漏れ」悪質だと見なされると「脱税」となるので注意しましょう。

「年末調整」していても「確定申告」した方が良いこともある

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また、確定申告が必須ではなくても、確定申告をすることで還付金がもらえることもあります。

所得控除額を申告して還付金を得るための確定申告は、特に「還付申告」と呼ばれます。
中には還付金額がかなり大きくなるものもあるので、注意して覚えておきましょう。

①医療費控除

同一生計で1年間の医療費自己負担額が10万円以上あると、その10%が所得控除されます。
この自己負担額には薬代や交通費も含まれるので、出産や手術があると、わりと簡単にこの医療控除の対象になります。

領収書などはきちんと保管しておきましょう。

②寄附金控除

所定の条件を満たした寄付を行うと、その大部分が所得控除されます。

また、ふるさと納税(地方自治体への寄付)の場合、寄付額から2,000円を引いた全額が6月からの住民税から差し引かれます。
つまり、6万円を自治体に寄付していれば住民税から5万8,000円が減税され、なおかつ数々のお礼の品を得られるという、注目の制度なのです。
(寄付先が5自治体以下など条件はありますが、「ワンストップ特例制度」を利用した場合は確定申告せずにふるさと納税の寄付金控除が受けられます)

③損失の繰り越しや損益通算

株式や為替などの投資で損失が発生しているなら、損失を繰り越して翌年と翌々年の利益と通算することができます。

また、証券会社2社以上で取引している人は、そのすべての証券会社における取引の損益を通算して、払い過ぎた税の還付を受けられます。

④住宅ローン控除

1年目の人だけは、確定申告が必要です。

1度確定申告しておけば、2年目以降は年末調整で手続きが可能なのですが、最大で1年につき40万円(条件を満たす住宅なら50万円)が還付される制度です。
忘れず手続きをしておきたいところです。

住宅ローン

年末調整を済ませると、勤務先から「源泉徴収票」が発行されます。
これは、1年間の給与から数々の控除を差し引いた所得を計算し、その年に納付された所得税と社会保険料の金額(源泉徴収額)を証明するものです。

上記の還付申告の対象者は、この源泉徴収票と、対象者であることを証明する以下の必要書類を持って、確定申告会場へ行きましょう。

①医療機関や薬局が発行する領収書やレシート
②団体や自治体からもらう寄付金証明書
③証券会社から送付される取引報告書
④金融機関からもらう「融資額残高証明書」,法務局が発行する「土地・建物の登記簿謄本」,市町村区役所が発行する「住民票」,住宅取得時に交わした「売買契約書」または「建築請負契約書」

また、年の途中で退職した人も、還付申告ができます。
勤めていた会社には、年末に在籍してなかったために年末調整を受けられなかったはずです。
その分、自分で確定申告することで払い過ぎた税の還付を受けることができます。
退職所得(勤務先からの退職手当など)を対象にした退職所得控除額については、勤続年数が20年以下か超で控除額の計算方法が異なってきます。

確定申告はそんなに難しくない!

年末調整に慣れている会社員にとっては、確定申告はかなり敷居の高いものというイメージがあるかもしれません。
たしかに、確定申告に必要な確定申告書(税務署に様式が置いてあります)は、一見難解です。
しかしいざ確定申告会場へ行ってみると、係員の丁寧な説明を受けながら書類を完成させることができます。

また、少し慣れさえすれば、自宅に居ながらウェブ上で確定申告の手続きの一部または全部を行うこともできます。