増税間近!マイホームを購入するなら増税前と増税後のどちらがお得?

更新日:2019/08/30

いよいよ2019年10月消費税率が引き上げられます 。

税率が2%上がることで、大きな買い物である“住宅を購入するタイミング”を悩んでおられる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

増税前と増税後ではどちらがお得なのか?

実際に私が相談された事例を見ながら、住宅購入の際に知っておきたい制度についてお伝えします。


女性とシングルマザーのお金の専門家 加藤 葉子 氏
女性とシングルマザーのお金の専門家

離婚を機にお金の勉強を始め、3年間で子どもの教育費を貯めた経験を持つ。
自身のブログ「女性とシングルマザーのお金の話」に全国の女性から切実なお金の相談が寄せられ、NHKのWEBコラム執筆を機に独立。
保険などの金融商品を販売しないお金の専門家として講座・執筆・相談など年間約700件。
現在は、女性ファイナンシャルプランナーのための研修や勉強会の運営も行っている。

ファイナンシャルプランナー 西本 美乃 氏
中学校講師、生命保険会社・保険代理店を経て、現在は金融商品を扱わないFP『3世代の夢をかなえるお金の専門家』として活動中。
「もっとみんなでお金の話をしませんか?」をキーワードに、子育てママと子ども向けのマネー講座を開催。
私生活は2児の母であり、夫の祖母と両親との7人家族。

増税の影響を受けるものは?

「住宅を購入する」とは、一般的に土地と建物を購入することです。

このうち消費税がかかるのは建物の部分のみで、実は土地には消費税がかかりません。

さらに中古住宅を購入する場合には、売り主が個人であれば建物も消費税の対象とはなりません。

その他、仲介手数料やリフォーム費用、司法書士などに支払う報酬、住宅ローンの事務手数料、引越しの費用などは消費税の対象となり、増税の影響を受けます。

消費税の対象になるもの 消費税の対象にならないもの
建物
売主が企業の場合の個人住宅
仲介手数料
リフォーム費用
司法書士などに支払う報酬
住宅ローンの事務手数料
引っ越し費用   など
土地
売主が個人の場合の中古住宅  など

消費税率が決まるタイミング

時間に悩むアトムくん
建物の購入価格に対する消費税率が8%か10%かは、原則引渡し(鍵を受け取る)時点で判断されます。

2019年9月30日までの引渡しなら8%、2019年10月1日以降なら10%です。

このタイミングによって、適用される税率だけでなく、利用できる支援策も変わってきます。

ただし、注文住宅やリフォーム で、2019年3月31日までに請負契約をした場合など、引渡し時期に関係なく消費税率8%が適応される場合があります。

自分で税率を選択することはできません。

【請負契約の場合の経過措置】

請負契約の場合の経過措置のイメージ

※国土交通省「すまい給付金」消費税率引上げに伴う住宅に関する経過措置より執筆者作成

増税前と増税後では引渡しはいつがいい?実際の相談をもとに解説

実際に筆者が受けた相談を元に、引き渡しに関して増税前がいいのか、増税後がいいのかを説明します。

相談者のAさんは、ハウスメーカーの担当者から「消費税率引上げの関係で利用できる制度もありますよ。引渡しはいつにしますか?」と聞かれ、どうすればいいのか分からず、筆者の元に相談に来られました。

【相談者・Aさんの家族構成と購入物件】
家族構成 Aさん(30代専業主婦)
夫(40代会社員・年収600万円)
長男・長女(中学生以下)
購入予定住宅  ハウスメーカーの新築分譲住宅(50平方メートル以上)
購入費用(土地・建物のみ) 4,000万円(土地代金2,200万円・建物1,800万円)
購入資金 Aさんの夫の直系の親から贈与1,000万円
残金3,000万円は住宅ローン(借入期間35年を予定)

まずは消費税率が8%と10%で消費税額の比較をしてみます。

Aさんはハウスメーカーの分譲住宅を直接購入しているため、不動産会社への仲介手数料はありません。

この他、引越し費用などは今回の試算には含めていません。

【増税前と増税後の比較】

消費税8%の消費税額 消費税10%の消費税額
建物 144万円 180万円
住宅ローン事務手数料 4,000円 5,000円
司法書士の報酬 9,600円 1万2,000円
合計金額  145万3,600円 181万7,000円
消費税の差額 36万3,400円

建物の増税分が大きく影響してきます。

次に、Aさん家族の状況を確認して、増税前と増税後の政府支援策による差額を比較してみました。(住宅ローン借入時期を9月と10月、金利1.2% で試算)

消費税8%の場合 消費税10%の場合
住宅ローン控除総額 265万2,700円 301万8,800円
すまい給付金 0円 30万円
次世代住宅ポイント ナシ 30万ポイント
合計金額  265万2,700円 361万8,800円
支援策による差額 99万6,100円(うち30万円はポイント)

増税前VS増税後では増税後の方が得になる

Aさんの場合、増税後の支援策を活用すれば、99万6,100円相当もお得になるとわかりました。

建物等の消費税の負担が約36万3,400円増えても、増税後に購入する方が63万2,700円相当のプラスですから、増税後の10月1日以降に引渡しを受けるようご提案しました。

また、Aさんの夫は住宅購入にあたり、親から1,000万円の贈与を受けています。

通常、1,000万円を贈与されたなら177万円の贈与税がかかるところ、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置により贈与税は0円となります。

Aさんの場合は増税前後で差はありませんが、住宅取得資金の贈与を受ける方はこの制度も確認しておきましょう。

国土交通省の「すまいの給付金サイト」で、ローン控除とすまい給付金の試算ができます。気になる方は一度試算してみましょう。

国土交通省「すまい給付金」すまい給付金シミュレーションはこちら。

消費税率引上げに伴う政府の4つの支援策

政府は増税前の住宅の駆け込み需要と、増税後の反動減が経済に与える影響が大きいと考え、対策として消費税率引上げ後の住宅購入に対し4つの支援策を用意しました。

増税後に住宅を購入し、一定の要件を満たした場合に適応され、支援策の併用も可能です。

【消費税率引上げに伴う4つの支援策の要点】

消費税率引上げに伴う4つの支援策の要点をまとめた画像

資料:国土交通省「消費税率引上げに伴う住宅取得に係る対応について」をもとに執筆者作成 

おさえておきたい4つの支援策を詳しく解説

Aさんのように増税後に住宅購入をする方がお得になるケースがあります。おさえておきたい4つの支援策を見てみましょう。

1.住宅ローン減税

住宅ローン減税とは、住宅ローンを借り入れて住宅の新築・取得又は増改築等をした場合、年末のローン残高の1%の所得税(一部、翌年の住民税)から10年間控除される制度です。

今回の増税にあたり、控除期間が3年延長されます。

【住宅ローン減税3年延長】 住宅ローン減税3年延長のイメージ

資料:国土交通省すまい給付金サイト「住宅ローン減税制度の概要」 をもとに執筆者作成

2.すまい給付金

2014年4月に創設された制度です。

今回の10%への増税により、対象者や給付額が拡充されます。Aさんのように対象者も増えそうですね。

【給付基礎額確認表】

消費税8%の場合
年収の目安※ 都道府県民税の所得割額 給付額
425万円以下 6万8,900円以下
(3万4,450円以下)
30万円
425万円超 475万円以下 6万8,900円超 8万3,900円以下
(3万4,450円超 4万1,950円以下)
20万円
475万円超 510万円以下 8万3,900円超 9万3,800円以下
(4万1,950円超 4万6,900円以下)
10万円

消費税10%:住宅ローンを利用する場合
年収の目安※ 都道府県民税の所得割額 給付額
450万円以下 7万6,000円以下
(3万8,000円以下)
50万円
450万円超 525万円以下 7万6,000円超 9万7,900円以下
(3万8,000円超 4万8,950円以下)
40万円
525万円超 600万円以下 9万7,900円超 11万9,000円以下
(4万8,950円超 5万9,500円以下)
30万円
600万円超 675万円以下 11万9,000円超 14万600円以下
(5万9,500円超 7万300円以下)
20万円
675万円超 775万円以下 14万600円超 17万2,600円以下
(7万300円超 8万6,300円以下)
10万円

※夫婦(妻は収入なし)及び中学生以下の子どもが2人の設定です
※「都道府県民税の所得割額」の(  )は政令指定都市の場合です
※神奈川県は別に定められています。国土交通省のすまい給付金サイトを参照してください
資料:国土交通省すまい給付金サイト「給付額について」 をもとに執筆者作成

3.次世代住宅ポイント制度

今回の増税に伴い新設された制度です。

一定の省エネ性、耐震性、バリアフリー性能を満たす住宅の新築やリフォームに対し、家電製品などさまざまな商品と交換できるポイントが付与されます。

【次世代住宅ポイント制度の概要】

資料:国土交通省「次世代住宅ポイント制度の概要」 をもとに執筆者作成

4.住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置

居住用住宅取得資金を、父母や祖父母など直系尊属から贈与された場合に、一定額までの贈与につき贈与税が非課税になる制度です。

今回の増税にあたり、非課税になる金額が拡大されます。

【贈与税非課税枠の拡大】

消費税8%の場合
住宅用家屋の新築等に係る
契約の締結日
省エネ等住宅 左記以外の住宅
~2015年12月31日 1,500万円 1,000万円
2016年1月1日~2020年3月31日 1,200万円 700万円

消費税10%の場合
住宅用家屋の新築等に係る
契約の締結日
省エネ等住宅 左記以外の住宅
2019年4月1日~2020年3月31日 3,000万円 2,500万円
2020年4月1日~2021年3月31日 1,500万円 1,000万円
2021年4月1日~2021年12月31日 1,200万円  700万円

資料:国税庁「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」をもとに執筆者作成

利用できる支援策を確認しましょう

それぞれ要件があるため、支援策を利用できない場合もあります。

例えば、Aさんの夫が現金で住宅を購入するなら、当然ながら住宅ローン減税の制度は利用できません。

また、すまい給付金は50歳以上が給付の対象となるため、Aさんの夫の場合は年齢が40代ですからすまい給付金の制度は利用できません。

結果、利用できる支援策は次世代住宅ポイントのみで、30万円相当のポイントが付与されるだけです。

しかし、住宅ローンを組まずに購入が可能なら、ローンの返済や利息がなくなります。親からの贈与を増やしてもらえれば、贈与税が非課税となる金額が大きくなります。

増税前と増税後のどちらの負担が少ないか、利用できそうな支援策の要件は必ず確認しましょう。

監修者からのコメント
加藤 葉子 さん

住宅購入で選択を悩んだときは、コラムのように具体的に数字を比較することで判断がしやすくなります。

マイホームは、人生の中でも大きな買い物で大きな金額が動きます。

物件の選択、住宅ローンの金利パターンの選択、頭金の金額など判断が必要なときは、専門家に相談しながら客観的に数字を比較してみてくださいね。

執筆者からのコメント
西本 美乃さん

住宅購入をご検討中の方へ

マイホームの購入は家族にとって大切なイベントです。購入にあたって利用できそうな支援策を調べて、負担の少ない方法をとりましょう。

増税前に急いで契約するのではなく、慎重に購入を検討してください。

ただし、物件との出会いは一期一会。同じ物件が今後もあるとは限りません。

金銭面での損得も大切ですが、これから長い時間を家族でどう過ごしたいか、長い目で考えていきましょう。